整骨院で保険って使えるの?現役の柔道整復師が保険適用を解説!

joyplus.鍼灸整骨院の早瀬です。

「整骨院は保険が使えますか?」患者様から、よくお問い合わせを頂きます。

答えははい、使えます。
しかし、保険を使って施術を受けるには
「適用範囲を定めたルールがあります。」

今回は、適用範囲の解説と実際の事例を挙げながら適用になる場合と適用外となった場合の弊院での対応について紹介させて頂きます。

整骨院の保険 柔道整復療養費について

整骨院の保険は、お医者さんや歯医者さん、薬局で使用している医療保険とは制度が違います。柔道整復療養費と言い、先に創設された医療保険制度を補う為に創られた制度です。

柔道整復療養費には、適用のルールがあります。ここではルールについて解説していきたいと思います。

適用のルール

柔道整復療養費には、適用、運用のルールを定めたルールブックのようなものがあります。

そこには、適用の範囲を以下のように定めています。

柔道整復師の施術に係る算定基準の実施上の留意事項

第1 通則

 療養費の支給対象となる負傷は、外傷性が明らかな骨折、 脱臼、打撲及び捻挫であり、内科的原因による疾患は含まれ ないこと。なお、介達外力による筋、腱の断裂(いわゆる肉 ばなれをいい、挫傷を伴う場合もある。)については、第5 の3の(5)により算定して差し支えないこと。 また、外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力に よって身体の組織が損傷を受けた状態を示すものであり、い ずれの負傷も、身体の組織の損傷の状態が慢性に至っていないものであること。 (注)負傷の原因は、いつ、どこで、どうして負傷したかを施術録に記載しなければならないこと。

こちらより引用
03-6(参考1)【全文】留意事項通知 (mhlw.go.jp)

はい。非常に分かりにくいかと思います。あくまでも国家資格である柔道整復師が読んで理解できるように書かれているので、一般の方が読んでも理解できない内容かと思います。

そこでわかりやすく解説していきます。

保険適用となるもの

「外傷性とは、関節等の可動域を超えた捻れや外力に よって身体の組織が損傷を受けた状態を示すもの」

簡単に言うと、捻ったり、ぶつけたり、転倒したりして、骨や関節や筋肉を傷めた、いわゆるケガと言われるものです。

痛めてからの期間

痛めてから、日にちが経ち
慢性になってくると整骨院での保険適用外となります。

あくまでも整骨院の保険は、ケガをしてすぐに治療を受けて早く治す為に適用されます。

「痛めたけど様子を見る」ではなく
「早く診てもらって、早く治そう」です。

骨折・脱臼の場合

骨折・脱臼の治療の場合は、基本的にはお医者さんの「整骨院で骨折(脱臼)の治療を受けてもいいよ」と言う同意が必要になります。(口頭でも可)

万一、骨折や脱臼ですぐに整骨院にかかる場合は、応急処置は医師の同意は必要ありません。

ケガをして骨折や脱臼が疑われる場合は、すぐに受診してください。

痛めた原因の確認

整骨院で保険を使って施術を受ける際、いつ・どこで・どのようにして痛めたかを聞かせていただきます。

いつ 
痛めた日から日にちが経って、慢性化していないか?

どこで 
仕事場や通勤途中の場合は、労災保険を使用して施術を受ける必要がある為。

どのようにして痛めたか? 
関節、筋肉を傷めるには、捻った、打った、伸ばされたなどの外から力が掛かる必要があります。同じ姿勢を長く続けて筋肉が疲労したなどは適用外になります。

この内容は、施術録(カルテ)に記載して保存が義務づけられております。

保険適用となった事例

適用のルールについて確認していただきました。なかなかルールを確認してもわかりにくいかと思います。実際に来院頂いた方で保険適用となった事例を挙げて参考にして頂きたいと思います。

高校生 男性 15歳の事例

前日の部活動のサッカーの練習中に、急な方向転換をした際に、右足を捻った為、来院。

いつ  前日

どこで 学校のグランド

どのように負傷した 練習中に急に方向転換をしようと、右足で踏ん張った際に右足関節を捻った。

保険適用の判断 

前日に負傷しているので慢性には至っておらず、部活動はプライベートな時間と判断されます。動きの中での負傷であることから保険適用と判断します。

処置 

エコーにて観察を行い、その他の所見から骨折の可能性はないと判断し、アイシング、治癒促進するためハイボルテージ療法を行った後、患部の固定を行った。

主婦 女性 48歳の事例

来院30分前、子供のピアノ発表会に来て、駅前のコンビニエンスストアで買い物をして出たところで、段差に足を取られて左足を挫いた。

いつ 当日

どこで 駅前のコンビニエンスストアの前

どのように負傷した コンビニエンスストアの前の段差に足を取られて左足を挫いた

保険適用の判断

来院日当日の負傷ですので保険適用の範囲です。プライベートな時間で、動きの中での負傷ですので保険適用と判断します。

処置

 エコーにて観察を行い、その他の所見から骨折の可能性はないと判断し、アイシング、治癒促進するためハイボルテージ療法を行った後、患部の固定を行った。

会社員 男性 55歳の事例 

以前から腰痛があった。長時間座ったり、長時間立ったりすると腰に痛みが出ていた。しばらくすると治まるので病院や整骨院には行かずにいた。

1週間前に自宅の引っ越し作業中に、荷物を詰めた段ボール箱を持ち上げた際に腰に強い痛みが走った。

その後、立ち上がる動作で痛みが出るようになった。しばらく様子をみたら治ると思っていたが痛みが治まらない為、来院。

いつ 1週間前

どこで 自宅

どうした 荷物の詰まった段ボール箱を持ち上げた際に腰に痛みが出た

保険適用の判断

以前から腰痛があったとのことですが、特に治療を受けておられない為、問題ないと考えます。

保険を使用して腰の治療を受けておられると保険適用ができない場合があります。

今回の事例は来院の1週間前に新たに起こった負傷ですので保険適用です。

自宅での負傷ですのでプライベートな時間・場所ですから保険適用の範囲になります。持ち上げるという動きの中での負傷ですので保険適用と判断します。

処置 

手技療法にて筋緊張の緩和を行い、疼痛緩和・治癒促進の為にハイボルテージ療法を行い、患部安静の為にコルセット着用をお願いしました。

保険適用にはならなかった事例

ここまでお読みいただくと、保険適用のルールについて理解を深めて頂いたと思います。

ご来院頂く方すべてが保険適用となるわけではございません。保険適用にならない事例を挙げて、参考にしていただきたいと思います。

システムエンジニア 男性 46歳

1か月前からコロナの影響でリモートワークとなり、さらにマンションの管理組合の理事長も引き受け書類作成の為、仕事と併せて12時間以上パソコンに向かう日が続いた。

背中から腰にかけて筋肉が固まったようになって、困り果てて、来院。

保険適用の判断

いつが明確でなく、仕事・プライベートの時間も明確ではない。さらに痛めたかどうかも明確では無い為、保険不適用の判断をしました。

当院での対応

長時間の座位による背部から臀部にかけての筋緊張と考え、自費の手技による筋緊張の緩和おすすめする。

セルフのストレッチや自宅で行う運動指導も併せて行い、筋緊張の緩和を持続する方法もお教えした。

主婦 女性 52歳

若い頃から、肩こりがひどく、季節の変わり目などは首の痛み、頭痛が出る。

肩こりがひどい時には、マッサージや鍼(はり)施術を受けていた。

来院の3日前から特に何もしていないが、首の痛み、頭痛が出だした。

いつ 3日前

どこで じたく?

どのように負傷した 特に何もない

保険適用の判断

症状が出だしたのは3日前ですので、慢性にはいたっていません。ケガをするような動きなどがなく、原因が不明です。このような症状には、整骨院での保険は不適用となります。

当院での対応 

鍼施術のご経験もあるとのことでしたので、鍼施術をお勧めしました。若い頃から肩こりがひどく、改善も見られないとのことでしたので、首肩はもちろんですが、東洋医学的に診させていただき、必要な全身の経穴(ツボ)にも鍼をする鍼灸全身調整を施術させていただきました。症状は改善して、定期的に鍼灸全身調整に通っていただいております。

団体職員 男性 60歳 

マスターズ水泳で大会に出ている。大会前でかなり追い込んで練習をしている。特にキックの練習をしている為、太ももの疲労がつらいため何とかして欲しい。

保険適用の判断

疲労回復の為の施術には、保険は適用できません。

当院での対応

試合まで1週間しかなかったので、早期の回復を目指して鍼施術と手技による施術を併せて行いました。大会では目標タイムを切って、良い成績を収められたそうです。

痛みがあれば、まずは相談を!!

いかがでしたでしょうか?整骨院の保険適用にはルールがあり、何でも保険を使って施術を受けられる訳ではありません。

しかし、適用のルールは一般の方には、少し難しく判断に迷うものです。早く治療すれば治りやすいケガも、「少し様子を見よう」となり治療開始が遅れることにより、治るのに時間を要することになりかねません。

痛みが出た場合や、お体にご不調が出たりする場合は、まずご相談ください。

しっかりとお話を聞かせていただき、保険の適用についての説明、保険が適用されない場合でも症状にあった自費施術をご提案することができます。お一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

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