色々な治療を受けても腰痛症が完治せず、自らセラピストの道を選んだヒト
皆さん、こんにちは。30年間腰痛症をはじめ、日々患者さんと痛みに向き合い、悪戦苦闘を続けているjoyplus.鍼灸整骨院の“通称きん爺”こと堤です。
(筋肉をこよなく愛する中年セラピストで、きん爺と呼ばれています。)
本日のテーマは腰痛症シリーズ第三弾!
「色々な治療を受けても腰痛症が完治せず、ついには自らセラピストになって自らの身体と向き合い、完治した人」のお話です。
ありとあらゆる病院や整骨院、鍼灸院やマッサージ院に通い続けて20年以上腰痛症と闘っている人の実話です。
自ら患者さんとして数多くの施術を受け、それでも改善せず、最後には「世の腰痛症患者の代表」として自らの闘病生活を振り返りながら、
患者さんに寄り添う気持ちを汲んだセラピストを目指すことになった男の物語です。
彼は現在私の下で一緒に業務にあたる中年セラピストです。私自身、身体の不調がなく健康な中年ですが、腰痛症のことをよく相談します。
元鉄工関係の職についていました。ちなみに潜水艦建造に携わる職人さんだったそうです!
(私は彼を“潜水艦”と呼びます。)
①作業中、数え切れないほどのぎっくり腰
②35歳で腰椎椎間板ヘルニア
③44歳で腰椎分離・すべり症を発症。
腰痛症をこの世から無くし、すべの患者さんに元気で明るい日常生活をお届けしたいと孤軍奮闘する男の人生をご紹介します…。
腰痛の患者さんとして受けた治療
厚生労働省国民生活基礎調査の有訴受診率では、腰痛症は男女あわせて1位であり、
整形外科外来患者の60%にものぼるとされています。
有病率は男性25,2%、女性30,5%であり実に日本国民の1,800万人以上が罹患していることになります。
また、45歳以下の就業不能原因の1位とされ、重大な社会問題にもなっています。
腰痛は“腰が痛い”という総称であり、腰痛という病態が存在するわけではなく
椎間板性・椎間関節性・仙腸関節性・筋・筋膜性などの構築学的支持機構の破綻はもちろん心理・社会的問題も含めて原因は多岐に渡ります。
2001年のアメリカの家庭医によって病態を研究する必要のない環境下のデータでは腰痛の約85%は非特異的性腰痛であり原因不明だとされていました。
一方近年、我が国の非特異的腰痛を病態分類した報告では78%が原因を特定できるとしています。
すべてがこの通りだとは言いませんが、こういう知見があることを知っているだけでも、我々セラピストは安心して患者さんの治療に取り組めるのではないでしょうか。
腰痛に病院での治療は有用だったか?
腰痛症の患者さんは、まず適切な検査が可能な施設・病院において一度診察されることを私はオススメ致します。
個人的には患者さんが少しでもよくなるためにはまずは原因究明が重要だと思います。
痛みの発生機序はさまざまであり、患者個人の社会背景や心理・社会的要因が発症のリスクとなっているものをイエローフラッグと呼びます。
また、腰痛発症が重篤な疾患に起因する可能性がある症状や徴候をレッドフラッグと呼びます。
精査するそのためには整形外科を受診する必要があります。薬物療法は疼痛軽減や機能改善に役に立つとされ、強く推奨されています。
また、急性腰痛症や坐骨神経痛であればロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬が強く推奨され、
慢性腰痛症などはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や弱オピオイドが弱く推奨(提案)されています。
場合によってはインターベンション療法(神経ブロック、注射療法)や手術を必要とするケースもあろうかと思います。
これらは病院でしか受けられない治療です。」
私はまず整形外科で画像診断を受け、運藤療法をメインで通院しました。
色々な治療を受けましたが何をされたかより、誰にされるかという方が重要な感じがします…。
腰痛の治療としてはり治療は有用だったか?
私も鍼灸師の端くれとして、急性腰痛症や経過が不良の患者さんには提案させていただいています。
症状にもよりますが、比較的治療効果は概ね良好だと思います。
即効性があるといわれますが、もちろん直後効果を狙って施術するのですが、事後効果の場合もありますし、すべてが思った結果でないと考えています。
鍼灸師の方なら、なぜかよくわからないけどよく効いたと患者さんから感謝されて、腑に落ちないケースもあると思います。
ガイドラインにもエビデンスはないと記載があります。
私の患者としての経験上、はり治療は即効性があり、鍼灸師の先生には大変お世話になりました。特にぎっくり腰の際はかなり楽になります。
ただし、年々症状が増悪し、強い刺激を求めだして最後は全身にはり治療してもらうようになり、キリがないと思いました。
腰痛にマッサージ・整体は有用だったか?
何をもってマッサージ・整体なのかという個人の解釈にもなろうかと思います。
ガイドラインには亜急性および慢性の腰痛症状の短期的な介入効果を認め、治療的な運動や教育と組み合わされた場合に、
治療直後および短期間の症状軽減に効果的であると記されています。
下行性疼痛抑制系や広汎性侵害抑制調節(DNIC)などの鎮痛機構を賦活することで痛みを抑えたりします。
マッサージも受けた経験があります。確かに心地の良い刺激はリラックスできますが、鎮痛作用はあまりないように思います。
個人的には、はり治療のほうが直後効果を感じると同時に、リラックスもできました。
また、徒手療法としてマイオセラピーという手技も受けたことがあります。
マイオセラピーとは筋の治療という意味であり、その対象となる疾患は末梢神経障害です。
この神経障害は、例えるなら、症候として長時間の座位による足のしびれや痛みなどの一過性で軽度のものや、変性を起こし慢性化したものまでの全般的な神経障害のことをいいます。
これらの神経障害は酸欠によるものであり、その酸欠状態を持続させ、症候を起こしている血流不全の主な原因は、筋・腱・靭帯などの硬化や短縮です。
よってこの軟部組織を弛緩・伸張が獲得できれば、血流が回復し、神経根障害の改善が期待できるそうです。
つまり、筋を緩めることで、神経への血流を改善しようとする治療法、特に深部組織へのアプローチがマイオセラピーです。
文献によれば、ダイレクトストレッチの分類になるとのことです。患者側の一意見としては、効果のあるものだとおススメしたい手技の一つです。
医療現場での新しいリハビリの実践としてヨガ&ピラティスが注目されている
ヨガとピラティスを機能評価や運動療法として活用している先生方がいらっしゃるようです。
①ヨガは心と身体のコントロール、ピラティスはモーターコントロールが本質。
②ヨガは支持基底面が狭く、ピラティスは支持基底面が広い中でエクササイズすることが多い。
③ヨガのポーズやピラティスのエクササイズを応用して、機能評価や運動療法に活用できる。
医療界でも国内外を問わず、ヨガとピラティスに注目が高まっています。
米国内科学会の腰痛ガイドライン2017では、旧ガイドラインにはなかったモーターコントロールやピラティス、ヨガの名称が入っています。
また2018年に発行された慢性疼痛治療ガイドラインでも同様の記載があるようです。
諸外国と比べてわが国でのメディカルピラティスやヨガの臨床活用はまだ一部のセラピストに限られているのが現状です。
しかし、2019年に開催された日本低侵襲脊椎外科学会でヨガとピラティスの特別講演が行われたり、とある大学病院でマシンピラティスを導入し、
医師やセラピストが活用したり、スポーツ・産婦人科医が周産期ヨガに取り組んだりと、今後ヨガとピラティスを臨床の場で取り入れるセラピストは増えると予想されます。
ヨガの概要や特徴・違い・目的・活用例とは?
ヨガは紀元前2,500年頃(約4,500年前)のインダス文明から存在するとされています。
1,600年前にポーズをとるハタヨガが出現し、現在のカタチのヨガとなっています。
ヨガは臨床的には心と身体のコントロールメソッドとして有効活用されている場面が多いです。近年ではヨガの思想や哲学的な面を取り除き、
スポーツ医科学に基づき、身体機能の改善を目的とする運動療法としてのヨガもあります。
ヨガは基本的に道具を使わず、自重のみで行うマット上の運動です。ただし、数多く存在する流派の一部では小道具を使用してサポートし、
ポーズをとるヨガやハンモック上で天井から吊り下げられるヨガもあります。ヨガはピラティスと比較して立位で行うことが多く、支持基底面が狭くなりやすいです。
目的はヨガのポーズをとることで内観による気づきから自己認知を変化させノンストレス状態を作ることです。
ピラティスの概要や特徴・違い・目的・活用例とは?
ピラティスはジョセフ・H・ピラティスが作り出したエクササイズメソッドです。
臨床的には身体のモーターコントロールメソッドとして活用されている場面が多いです。複数の流派があり、
たとえばピラティスの教えや哲学を重視したクラシカル寄りの団体やリハビリ・コンディショニング寄りの団体など特色があります。
ピラティスには、マットとマシン(イクイップメントと呼ばれる)で行うピラティスがあります。
代表的なマシンの1つがリフォーマーです。
約800種類のエクササイズが可能で、高齢者からアスリートまで対応できます。
マットピラティスはフィットネスクラブやZoomを用いるなどリアル(対面)やオンラインでのグループレッスンで行うことが多いです。
マットもマシンも臥位で行うことが多く、支持基底面が広くなりやすいです。
目的はモーターコントロールエクササイズとして
①体幹の安定
②四肢の分離・協調運動
ができることです.
背骨は動かして治す‼
最後に臨床の現場で実施されているヨガやピラティスを機能評価や運動療法として活用している例をご紹介します。
猫の背伸びポーズを応用した体幹伸展可動域評価
ヨガの猫の背伸びのポーズを応用し、体幹伸展可動性評価を目的として用いられています。
胸腰椎などの伸展可動性がなければ、このポーズはできないそうです。
胸腰椎の伸展可動性制限があれば腰椎椎間板に圧迫ストレスが増加しやすいため、椎間板性腰痛の発症が予測できます。
アーティキュレーティングショルダーブリッジを用いた機能評価と運動療法
ピラティスは脊柱の分節的コントロールが特徴となります。通常のヒップリフトではなく、骨盤後傾位から脊柱の分節的伸展方向への動きが可能かなどをチェックします。
体幹や脊柱、大殿筋のモーターコントロールや、体幹骨盤・下肢アライメントの代償などの機能評価を行い、同時に運動療法として用いることも可能です。
腰痛は無理せずに、出来る範囲で背骨を動かせば改善できる!!
皆さん、最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。医療現場では様々な治療が存在します。
動かしながら治す、とパラダイムシフトしてみるとまた違った世界が見えるかもしれませんね。
いずれも薬物療法や物理療法を併用しながら、安静期間を4日以内に減らす努力をし、早期活動再開をもたらすことで職業復帰や再発予防にもつながります。
このために改善させるべき身体機能として脊柱柔軟性と体幹筋力が影響します。
それこそが、動かしながら治すという本当の意味なのです。
整骨院で、施術可能な症状には対応致します。
ご不明な点やご質問などあればLINE@やメールでお問い合わせ頂ければ幸いです。
■参考文献
できるセラピストにと言われるために3年目までに知っておきたい115のこと