腰痛に伴う足のしびれは坐骨神経痛かもしれません
こんにちは。joyplus.桜宮の溝端です。
長年、腰痛で悩んでおり、最近足のしびれも感じるようになったという経験はありませんか?
足のしびれとなると、
「神経が原因なのかな」
「神経の痛みってなんだか怖い」と不安に感じ、病院に行くことを考えている方もいらっしゃるかと思います。
腰痛からくる足のしびれとして、「坐骨神経痛」という症状があります。
坐骨神経痛は放っておくと、症状が悪化し、治りにくくなる可能性もある症状です。
そこで今回は、「坐骨神経痛」の原因や治療方法についてご紹介します。
坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、病名ではなく下肢にあらわれる症状の総称です
腰からお尻、太もも、ふくらはぎへとつながる「坐骨神経」が刺激を受けたり圧迫されたりすることで生じる、痛みやしびれの症状を指します。
坐骨神経は腰からふくらはぎまでつながる非常に長い神経であるため、症状が現れる場所も人によってさまざまです。
坐骨神経の症状とは
坐骨神経が通っている、お尻から足にかけて生じます。
このしびれるような痛みは、
「ビリビリ」「ジンジン」「チクチク」と表現され、腰痛に伴ってあらわれることが多いです。
日常生活における具体的な症状として、以下のようなものがみられます。
・立ち上がる際に痛む
・起床時にきつく痛む
・身体をかがめたり、腰を反らしたりすると痛みが強くなる
・腰や身体を動かすと、足のしびれが激しくなる
・腰痛や足のしびれにより歩けなくなっても、休むと再び歩くことができる
・安静にしていても、お尻や足が激しく痛んで眠れない
・長い時間立っていることがつらい
上記の症状が一つでもあてはまる方は、坐骨神経痛かもしれません。
では、この坐骨神経痛は何が原因で生じるのでしょうか。
坐骨神経痛の原因とは
原因には、
「腰部脊柱管狭窄症」
「腰椎椎間板ヘルニア」
「その他(梨状筋症候群、がん)」
の大きく3つが挙げられます。
身体の中でどのようなことが起きているか、それぞれ見ていきましょう。
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
腰部脊柱管狭窄症は、腰のあたりにある脊柱管が狭いことで生じる状態をいいます。
「脊柱管」とは、いったい何でしょうか。
私たちの首から腰まで連なっている背骨(脊椎)には、トンネル状の細長い管があり、そこに神経が収められています。
この管を脊柱管といい、中を通る神経を保護しています。
しかし、脊柱管が老化などにより狭くなると、収まっている神経が圧迫されて、痛みやしびれが生じます。
これが腰部脊柱管狭窄症であり、特に50才以上での発症が多いと言われています。
痛みの特徴
体を後ろに反らせると脊柱管がさらに狭くなり神経などを圧迫するため、
・高いところのものを取る動作
・腰をひねる動作
・背筋を伸ばす動作
などは痛みが出たり、痛みが強くなったりするのが特徴です。
逆に、前かがみになると脊柱管が広がるため、自転車の運転や、靴下を履くなどの動作は比較的楽に行えます。
腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)
ヘルニアとは、身体の組織が本来あるべき位置からはみ出した状態を指します。
すなわち、腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の椎間板がはみ出している状態をいいます。
私たちの背骨(脊椎)は24個の骨(椎骨)が連なってできており、この椎骨と椎骨の間でクッションの役割を果たしているのが椎間板です。
腰椎と腰椎の間の椎間板が、神経の通る脊柱管にはみ出て、神経の圧迫により痛みやしびれが生じるのが、腰椎椎間板ヘルニアです。
20代が最も多く、次いで30~40代と比較的若い方で発症するのが特徴です。重いものを持ったときの負荷などが原因として考えられています。
痛みの特徴
前かがみになると痛みが出やすい
・あぐらや横座り
・中腰で行う動作
・猫背の姿勢
などは腰への負担が大きく、椎間板が飛び出しやすくなり痛みが出る。
梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)
梨状筋とは、お尻の奥にある筋肉を指しており、この梨状筋の中を坐骨神経が走っています。
外傷やスポーツ活動などにより、梨状筋が坐骨神経を圧迫することで生じる痛みやしびれを「梨状筋症候群」といいます。
その他にも、がんが原因となることもあります。
例えば、背骨(脊椎)にがんができると、背骨の中を通る神経を圧迫し、足の痛みやしびれが生じることもあります。
「坐骨神経痛」には、上記のような様々な原因があります。中には原因が、がんである場合もあるということで、放っておかず、早めに病院にかかって検査をし、治療を始めたいですね。
では、このような坐骨神経痛にはどのような治療法があるのでしょうか。
坐骨神経痛の治療法「保存療法」とは
坐骨神経痛の治療法には「保存療法」と「手術療法」があります。
「保存療法」は、手術以外の治療方法で種類も多様にあり、生活習慣やライフスタイルに合わせて行っていきます。
物理療法
・温熱療法
・マッサージ療法
・低周波電気療法
・赤外線やマイクロ波による治療
・骨盤牽引
これらは主に血行を良くし痛みをやわらげる治療法。
骨盤牽引は、患部を引っ張る事で椎間板にかかる圧力を弱め、痛みを改善する方法です。
運動療法
体操やストレッチにより、筋肉の緊張を和らげ血行を良くし、痛みを改善する治療法。
徐々に運動の負荷を増やして行く事で、下肢に筋力がつき腰椎への負担が減ります。
手術後のリハビリとしても行われます。
装具療法
コルセットなどで腰椎を支え、安定させる事で痛みを和らげる治療法。
腹圧をあげ腰椎を固定し、良い姿勢を保つ効果があるのですが、長期間使用すると筋力が低下してしまうおそれがあるので、1ヶ月程度を目安に利用します。
薬物療法
薬物療法は、薬を使って痛みを和らげる治療法。
薬で疾患を治す事はできませんが、痛みが和らぐ事で気持ちが前向きになったり、活動的になったりする事から、筋肉の低下を防ぐ事が期待できます。
ブロック療法
局所麻酔や抗炎症剤を、神経の周りや神経へ直接注入する治療法。
痛みの伝達物質を一時的に遮断する事で強い痛みが緩和するだけでなく、自律神経の緊張も和らぐため血行が良くなり、体内で作られた痛み物質の排出も促されます。
保存療法の運動療法を紹介
1. タオルラットプルダウン
2. ドローインエクササイズ
3. 脊柱起立筋ストレッチ
4. 大腿四頭筋ストレッチ
コルセットの有用性
コルセットが有効な坐骨神経痛
坐骨神経痛には様々な理由が考えられます。その代表例が中高年の方に多いヘルニアや脊柱管狭窄症です。
これらの場合にはコルセットを着けた方が良い「場合があります」。
理由は、「腰の不安定さが原因」だからです。
「コルセットを着ける→腹圧が上がる
→背骨が安定→坐骨神経痛が誘発されにくい状態になる」
という理屈からコルセットは坐骨神経痛に有効な場合があります。
コルセットが不要な坐骨神経痛
梨状筋症候群や太ももで坐骨神経が圧迫されて起こっている坐骨神経痛にはコルセットはほぼ無意味です。
コルセットを巻く理想の位置
コルセットの着ける位置は、「腹圧を効率良く上げることが出来る」
骨盤の高さに巻くことが理想です。
あくまでも「痛い部分」ではなくて、骨盤を包むように巻くことが重要です。
コツとしては、腰や骨盤は綺麗な円柱状ではないのでお腹やウエストの形状に合わせて、やや斜めに巻くとフィット感が増して効果が大きくなります。
痛みとしびれが改善できるように・・・
今回は坐骨神経痛の対策や予防法、原因などについてお話ししましたがいかがでしょうか?
坐骨神経痛の症状や原因は人それぞれであり、その人に適した治療法が求められます。
腰痛だけでなく、お尻から足にかけたしびれに悩まされている方は、自分にあった治療をおこない、症状の改善を目指しましょう。
参考資料
腰痛診療ガイドライン2019 改定第2版.日本整形外科学会/日本腰痛学会 監修
主婦の友社・編(2012)『徹底対策シリーズ・図解でわかる坐骨神経痛』主婦の友社
田村睦弘・黒田恵美子 監修(2018)『完全図解 坐骨神経痛のすべて』主婦の友社