繰り返すぎっくり腰の実態!|ギックリ腰が治らない方へ・・

皆さん、こんにちは。

朝の散歩が日課になりつつあるjoyplus.鍼灸整骨院の“通称きん爺”こと堤です。

(筋肉をこよなく愛する中年セラピストで、きん爺と呼ばれています)

本日のテーマはぎっくり腰の実態とは??です。

「医療者と患者さんが特定の臨床状況において 適切な診療の意思決定を行うことを支援する目的で系統的に作成された文章」

である腰痛診療ガイドラインを手に取りながら、

国が推進する科学的根拠に基づく医療(EBM)の観点からぎっくり腰・腰痛症で悩んでいる方に、

正しい情報をお届けし、その症状緩和や改善に少しでもお役に立てれば幸いです。

腰痛症から解説

国民病と言われる腰痛症の情報は、この世に非常に多く存在します。

腰痛は生涯で成人の約80%が経験するといわれている一般的な病態です。

1/3は1~5か月以内、残りの1/3は6か月以上、症状が継続しているとされており、決して楽観視はできません。

あるデータによると腰痛の発生率には男女差があるそうです。

女性では加齢とともに増加傾向にあり、これは骨粗鬆症との関連が考えられます。

男性は40~50歳をピークに減少します。

注目は、男女ともすべての年代において、国民愁訴の上位3位以内を占めており、きわめて頻度の高い症状の一つであるということです。

基礎科学研究では抵抗運動と有酸素運動が関節軟骨・靭帯・腱に対して有益な効果をもたらし、

逆に不活動性は筋骨格系に対して悪影響を及ぼすことが報告されています。これらの結果から、

身体的フィットネスレベル(身体運動能力)の低下は、腰痛発症の重要な危険因子であると推測されています。

そして喫煙者は禁煙者に比べ、腰痛症状が重篤であると報告されています。

喫煙によって軟骨終板を介しての椎間板への栄養供給が阻害されます。

また、酸素運搬能低下により身体的フィットネスレベルが低下するようです。

さらに、咳嗽発作による椎間板内圧の増加という危険因子も報告されています。

従来から、重機械や削岩機を使用する労働者の方では作業時の振動が腰痛の要因となることが知られています。

これは振動がコラーゲン組織の疲労性破綻を促進するためです。

最近では、看護師や介護福祉士などの医療職における腰痛の増加が問題となっています。

これは起き上がりや立ち上がりを介助する際、体幹回旋動作と前屈動作の複合動作が腰椎椎間関節、

特に椎間板への過剰負荷をもたらすためと考えられています。

近年、腰痛を生物学的な損傷や解剖学的異常ではなく“生物・心理・社会的疼痛症候群”による症状と位置づける考え方が定着しつつあるようです。

急性期では、予後が概ね良好であることを伝え、安心させ過剰な安静を薦めないことが推奨されています。

慢性期には心理的要因が主体となることから運動療法や集学的アプローチ、リエゾン療法による良好な効果が報告されています。

集学的アプローチ

プライマリケアレベルにある腰痛は、「脊椎の障害」ではなく心理・社会的因子が関与する「生物・心理・社会的疼痛症候群」であり、

「解剖学的異常」ではなく「器質・機能障害」ととらえるべきという考えが主流です。

そのため運動療法に加え、認知行動療法などを含めた全人的かつ多角的な治療を行う必要があります。

リエゾン療法

整形外科と心療内科・精神科など複数の医師が連携(リエゾン)して治療にあたり、

ココロとカラダの両面から治療を行う療法で、具体的には薬物療法や運動療法と認知行動療法などを並行して行うことです。

また、精神心理学的問題が、腰痛の自然経過に大きく影響することが報告されています。

業務内容や上司からの評価に対する不満、職場での人間関係が症状の回復に影響することが示唆されています。

心理的問題と機能障害に着目した臨床的検討では、個人的、仕事的、家庭的に問題が少ない患者さんは非常に良好です。

今日、ネット上の情報には最新のエビデンスを含めた客観的信頼性の高い診療情報をはじめ、

いちセラピストの個人的な見解やご意見もあろうかと思います。

この情報が氾濫している現代において最も重要なことの一つは、患者さんお一人おひとりが、

ご自身の痛みの原因とメカニズムを理解すること」と「この情報は自分自身にとって重要かそうでないかという鑑別能力」なのです。

ぎっくり腰が治らない主な原因とは?

腰痛症は、ぎっくり腰と呼ばれている急性腰痛症や慢性腰痛症、

さらには加齢などによって腰椎や周囲組織が変形する変形性腰椎症、感染によるものや腫瘍性疾患、骨折などがあり多岐にわたります。

まず確認しなくてはならないのはそれが、内臓や血管、癌(がん)などによるものではないということです。

例えば、安静時や就寝時に痛い、治療中にもかかわらず症状緩和がみられず経過とともに悪化する、熱がある時などは激しい痛みでなくとも要注意です。

我々医療従事者が腰痛症の患者さんを初診で来院された時に、

見逃してはいけないサイン(redflags)

■発熱している

■転落した

■激痛

■繰り返す腰痛

■長く続く腰痛

■いつもと違う腰痛

■膝がガクガクする

■スリッパが脱げやすい

■足のしびれ

■排尿・排便障害

「ぎっくり腰がなかなか良くならないと思ったら、内臓がらみの腰痛や心理的な要素も関係するなんて?? 」

「体を動かさなくても痛い、夜間に痛い、どんどん悪化する時や症状にまったく変化がなく長引くケースはすぐに相談します。」

ぎっくり腰ってどんな状態?

ぎっくり腰とは急に腰がぎくっと痛くなった状態で、様々な病態があります。

ドイツ語では「魔女の一撃」、「ドラゴンの一突き」という言い方があるほど、発症時の痛みは強烈です。

一瞬にして腰にチカラが入らず、
姿勢を変えようとカラダを動かすと痛みが走るので、立てない、動けない、這うように、
という表現を多くの経験者が語るのがぎっくり腰の特徴です。

中には、いつとはなしに徐々に発症し、慢性に経過する腰痛もあります。また症状が緩和したり悪化したりを繰り返す例もあります。

腰の筋肉が骨盤に付着している部位に痛みを感じることが多いと言われ、物を拾い上げる動作、洗顔やうがい動作が困難となります。

腰痛だけでなく、下肢にひびく痛みや、しびれを伴う場合は腰の神経に何らかの障害があることを意味しています。

実際に、皮下の浅い部位から深部の骨までさまざまな部位に痛みの原因があります。

病院などの医療機関では急に痛くなったか、徐々に痛くなったか、痛みの部位は比較的に表層か深部かなどを吟味し、できるだけ特定の病名診断をつけます。

どうしても病名がつけられない場合に限って「いわゆる腰痛症」とするとのことです。

ぎっくり腰の多くは椎間板ヘルニアであると報告があり、すべてではないようです。

高齢女性のぎっくり腰は背骨の圧迫骨折の可能性が高いようです。

ぎっくり腰も色々なケースがあります。

まずは医療機関に受診して精査することが大切だと考えます。

2~3日、数日間で痛みが緩和される場合はいいのですが、痛みが長引くケースや下肢にまでしびれや違和感があるケースは早期に受診するようお気を付けください。

国が定めるガイドラインによると、薬物療法は疼痛軽減や機能改善に役に立つとされ、強く推奨されています。

また、急性腰痛症や坐骨神経痛であればロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬が強く推奨され、

慢性腰痛症などはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や弱オピオイドが弱く推奨(提案)されています。                     

 ※オピオイドとはケシから採取されるアルカロイドや、そこから合成された化合物、

また体内に存在する内因性の化合物を指し、鎮痛作用・陶酔作用があります。

ぎっくり腰の処置や治療として何が有用か?

発症直後は、まず腰に負担がかからないよう楽な姿勢をとるようにして下さい。

□ 膝の下にクッションや枕などを入れて腰と膝を軽く曲げて寝る。

□ 海老のように背中と膝を軽く曲げて横向きで寝る

などの姿勢が勧められています。

ガイドラインにも急性腰痛症の方が経過は概ね良好とあります。ほとんどの場合、痛みは2、3日で緩和して、1週間程度で軽快してゆきます。

また、整形外科を受診した場合は症状、経過、問診、画像診断などにより急性腰痛症と確定診断ができたら、まず激痛をやわらげる治療を行います。

内服薬や湿布剤、状態によっては局所麻酔薬を注射するトリガーポイント注射や神経ブロックを行います。

我々の鍼灸整骨院でできることは鍼治療マイクロカレント(微弱電流)療法、ハイボルテージ(高電圧電気刺激)療法などがあり、症状によってはかなり有用な治療だと実感しています。

その後のいわゆるリハビリに該当するものですが、

・物理療法(牽引療法)

・超音波療法・経皮的神経電気刺激療法(TENS)

・温熱療法

のそれぞれの効果には今日では意見が分かれるところです。

中には有用なものも存在しますが、高品質な研究は少なく推奨される治療法は限定的であると報告されています。

理論的な話には触れませんが、各治療における報告の中でエビデンスは低いとされ、ガイドラインでは弱く推奨する、となっています。

個人的な意見ですが、整骨院で実施している物理療法だけで言えば、患者さんにとって充分納得していただける効果が得られています。

引き続き有用性を検証するための高い研究が必要となってくるのではないでしょうか。

同じく、装具療法(腰椎サポート・コルセット)に関しても同様で、弱く推奨するとなっています。

腰椎サポートとは、一般的にコルセットなどの脱着可能な硬性または軟性腰椎固定装具を指します。

主に、筋骨格変形の矯正や脊椎可動性の制限、脊椎の安定化、機械的負荷の軽減効果があり、

腰痛症患者さんに一定の効果をもたらすといった報告がある反面、痛み、機能において効果を認めなかったり、

復職に関しては腰椎サポートの有効性は一貫しないなど、

皮膚病変、胃腸障害、より高い血圧および心拍数、筋肉組織の障害などの有害作用との関連性も合わせて示唆されています。

私が職場で知る限りは、様々なタイプのコルセットがあり、症状に対して的確に選択できれば、有害作用はほぼないと感じています。

ぎっくり腰!教えて!きん爺先生「この3つのコトのココだけしっていれば安心Q&A」

日頃から臨床現場で聞く患者さんからの多かった疑問に、私なりにお答えします。

腰痛症、特にぎっくり腰の質問にお答えします。

Q.1

ぎっくり腰ってどういうことを言うの?

医学的には急性腰痛症といい、急に発症した腰痛全般を指します。

□ 前かがみの姿勢や、急に姿勢を変えたとき

□ くしゃみ

□ 椅子から立とうとしたとき

□ 床にある重量物を、膝を伸ばしたまま持ち上げようとしたとき

□ お風呂で浴槽に浸かっていて、立ち上がり動作で

など、“重い物を持ち上げたとき”が多いきっかけですが決して無理をしたわけでなく、

日常生活のわずかな動作、“少しお辞儀をしただけ”、“ただ立ち上がろうとしただけ”がきっかけでも起こります。

詳しいことは未だに分かっていないのが現状です

Q.2

ぎっくり腰は安静にした方が良い?

基本的には安静期間は4日以内を目標として早期活動再開を目指すことが、
職業復帰・慢性化・さらに再発予防にも有用となります。

お体の状態は人それぞれです。

決して痛みがあるのに無理をすることは禁物です。

たくさんの研究報告がありますが、近年、多少痛みがあってもできるだけやれることをやりながら、

少しずつ日常生活やお仕事に慣れていく手法が結果、改善の近道ではないかと議論されています。

Q.3

ぎっくり腰になったらどうしたらいいの?

ある外国の研究で、ぎっくり腰をされた患者さんに、

1 ベッドでの安静

2 治療家による施術を受ける

3 できる限り通常の日常生活を過ごす

という3つのグループに分けて経過観察したものがあります。

その結果、③できる限り通常の日常生活を過ごす、よう心掛けたグループが最も回復が早く、

①ベッドでの安静、を行ったグループが最も回復が遅かったと意外な結果だったそうです。

他の研究をみても、動けないほどの激痛のときを除き、
安静にしていることで実は、症状を長引かせていることがほとんどのようです。

冷やしたり、温めたり、どっちがいいか?

というお声を現場でよく耳にします。

正直、本当にお体は人によって様々です。

激痛がある時は局所的に冷却することが望ましいと思います。

ただ、経験的に患部に熱感や腫れがない場合は温かいお風呂にゆっくり浸かることで循環の改善や、浮力によって腰の負担が減ること、

リラックス効果で自律神経が整い、いくらか痛みが楽になった方が多いようにとも記憶しています。

認知を変えて痛みをコントロールする??マインドフルネス?瞑想…?

自分の状態や病気をどのように考えているかは、物事をどのように捉えるかで決まってきます。

そのため、話を聞くというカウンセリングの段階から、

もう少し治療的要素を取り入れるには、患者さんご自身がどのように物事を捉えているのかを認知し、行動を変えていくことが大切です。

そのため、物事の捉え方を理解し、その考え方に気づくことで行動を変える治療法を認知行動療法と呼んでいます。

昨今、痛みは「組織の実質ないし潜在的な傷害と関連した、あるいはこのような傷害と関連して述べられる不快な感覚的・情動的体験である」と定義されており、

単に組織の損傷だけでなく、心理社会的因子などの他因子が複雑に絡み合い、病態を難渋させていることが知られるようになりました。

これは、痛みの原因が単に関節や神経、筋肉などの損傷や炎症などで起こる生物学的要因によるものだけでなく、

家庭や職場、学校などの人間関係、ストレス、生活への不安や恐怖などの心理社会的因子によっても影響され、複雑化していることを示しています。

患者教育と心理行動アプローチ

では、認知行動療法の腰痛症予防は有用なのでしょうか? 

ガイドラインによれば、腰痛症に対して、患者教育と心理行動アプローチ(認知行動療法)は弱く推奨されているようです。

患者さんに対して実際に行われている教育の介入方法には、

1. 腰痛学級

2. 小冊子(パンフレット)

3.ビデオプログラム

4. インターネットを介した患者指導                                          

があります。

しかし、わが国の現状において腰痛症の方に対する認知行動療法は,保険適応ではないという問題があります。

医療機関で実施されるところは費用対効果や介入の内容も研究によって異なり、対照群への介入内容(未治療待機、一般的治療など)も統一されておりません。

特に対面式認知行動療法では個々の患者さんに時間を要することから、どうしてもコストが大きくなります。

また、集団式認知行動療法やインターネットを利用した指導ではコスト削減は可能ですが、対面式と同等の効果が得られるかどうかは不確実のようです。

個人的には国内や海外の質の高い研究結果が早期にまとまり、

少しでも多くの悩める腰痛症難民の方々に一筋の光となり得るこの素晴らしい可能性を秘めた認知行動療法が普及する日を、心待ちにしています

皆さん、最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

ぎっくり腰から、いわゆる腰痛症についてエビデンスを基に個人的な意見を述べさせて頂きました。

このような考え方や知識を活かしていただければ、どんな難渋な腰痛も改善していく一歩になると信じています。

整骨院で、施術可能な症状には対応致します。

ご不明な点やご質問などあればLINE@やメールでお問い合わせ頂ければ幸いです。

■参考文献

腰痛診療ガイドライン2019(南江堂)、内山 靖「エビデンスに基づく理学療法クイックリファレンス」(医歯薬出版株式会社)、荒木秀明「非特異的腰痛の運動療法~症状にあわせた実践的アプローチ~」(医学書院)、伊藤和憲「よくわかる痛み・鎮痛の基本としくみ」第2版(秀和システム)

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