私ってちゃんと歩けてる? 〜歩き方がもたらす様々な症状と歩行メカニズムを徹底深掘り〜
皆さんこんにちは。
joyplus.の金澤です。これまで外反母趾や爪の症状、足の痙攣など足に関する記事を多く書かせて頂きましたが、それらのテーマに共通する内容として歩行が関係しています。
人間は物心ついた時から二足歩行で歩き始めていて、寝ている時や座っている時以外は常に足で重力を受け止めています。
その重力を無意識に様々な関節が分散させて体に負担がかからないような構造をしている訳ですが、正常な立位や歩行が健康に繋がります。
逆に立ち方や歩き方が悪いと上手く負荷を分散出来ず疲れが溜まったり痛みの発生に繋がります。
・よく足が攣(つ)るな…
・腰部や膝が段々痛くなってきている…
・足の趾(ゆび)の形が変わってきている…
などを感じられている方はもしかすると歩き方が原因かもしれません。。。
そこで今回は、人間における「歩行」の基本的なメカニズムを紐解いていくとともに正常な歩行を手に入れるための意識やエクササイズまでご紹介していきたいと思いますので、是非最後までご覧ください!
基本的な姿勢と歩行を知ろう!
冒頭で無意識に関節が負担を分散させて体を支えていると書きましたが、人間は体の表面で外部の情報を察知して脳に伝えるとともに、その情報に対して瞬時に脳から各器官(主に筋肉)に指令を出して自動的にバランスを取っています。
あくまでも殆ど無意識下で行われている為、少しのズレや違和感は自然に補正されてしまう事になり、間違った姿勢や動きは自然な癖となってしまいます。
少し大袈裟な表現にはなりますが、基本的な姿勢や歩行を知らなければ間違っている事にも気付かないまま一生過ごす事となってしまいます。
健康な一生を送る為にも、まずは基本的な姿勢や歩行を知りましょう!
正常な姿勢とは
「綺麗に立って下さい!」と言われた時に皆さんはどのような姿勢を取りますか??
中には肩に力が入り過ぎて挙がっている方、胸を張り過ぎて腰から反っている方など様々いらっしゃいますが、実は結構間違っている方がいらっしゃいます。。。
まずは基本的な姿勢構造を知りましょう!
正しい姿勢を理解する上では「重心」が重要となります。
重心とは物体の中心や重力が作用する点という意味合いを指しますが、 多くの関節が強調して姿勢を保っている人間の立位姿勢においては、重心を基本点として、その垂直線上に体の要所が位置しているかが重要になります。
<正しい立位姿勢を取るための要所>
・耳垂(じすい:耳たぶ)
・肩峰(けんぽう:肩甲骨にある骨の突起)
・大転子(だいてんし:足の付け根の骨の外側へ突出した部分)
・膝関節の前面
・外果2~3cm前部(がいか:外くるぶしの少し前)
この5つが一直線上に揃っているかが正しい姿勢を取れているか否かの分かれ目になるのですが、実際自分でそれを確かめるのはかなり難しいので、ご自宅でも簡単にチェック出来る方法をご紹介しますので、是非試してみて下さい!
1:壁に背を向けて立つ。
2:壁に後頭部・背中・お尻・かかとをつける
この状態を自然に維持出来れば普段からある程度重心線が揃った状態で立てていると言えますが、逆にこの姿勢が取れないor維持できない方は普段から姿勢の乱れが大きいので要注意です。
正常な歩き方とは
正しい姿勢を理解頂いたうえで、次は正しい歩き方を理解しましょう!
皆さんは無意識に普段から踵(かかと)を接地してから体重を足底(そくてい)で受け止めて足趾(そくし)で蹴り出していると思います。
細かい歩行のメカニズムは後程深掘りしていきますが、ここでは歩行の基礎部分に触れたいと思います。
・歩幅
一般的な歩幅は左右のつま先の長さを測ります。
ある程度目安とされる歩幅として、「身長−100㎝」をした長さが理想とされていて、身長160㎝の方だと約60㎝が理想の歩幅です。
・正しい足の運び方
踵が地面に接地→小趾の付け根→母趾の付け根→母趾で蹴り出し という流れが基本的な歩行ですが、外反母趾や変形性関節症等があった場合にこの歩行サイクルが乱れる事に繋がります。
主に基本的に正常な姿勢がとれていれば正常な足の運びに繋がりますが、人間はほぼ反射的または無意識的に支える足と反対の足が動く事から、支える足がいかに正常に着けているかが重要になります。
良くない歩き方
・手を大きく振り過ぎているor振れていない
手を大きく振る事で体幹がブレてしまったり、猫背や反り腰になってしまう事があります。
逆に腕が振れていない場合には、歩幅が狭くなったり下肢への負担が増加する傾向にあります。
足の運びがスムーズだと腕は自然に振れますので、なるべく意識せず歩くようにしましょう。
・足を高く上げ過ぎている
歩幅大きくしたり歩行速度を上げようとしたりすると大きく前に足を高く上げようとする傾向があります。
あまり高く上げようとする意識が強すぎると体幹を過度に前屈したり腰が反り過ぎてしまう事に繋がるので注意が必要です。
後ろに蹴り出せば自然に反対の足が前に出ますので、基本的には後ろに蹴り出す事を意識しましょう。
良くない歩き方をしていると連鎖的に悪循環が広がり、全身症状を引き起こします。
「外反母趾」「うおのめ・タコ」「足の浮腫(むく)み」「こむら返り」「腰痛」「肩こり」「頭痛」などにまで発展し、気づかなうちにゆっくりと進行するため、早期に自分の歩行状況を知っておくことが理想です。
歩行のメカニズムを深掘り
ここまで歩行の基礎的な部分に触れてきましたが、歩行のメカニズムは足部の細かい組織、それぞれの関節が上手く協調しあって成り立っています。
少しマニアックな部分になりますが、知っておく事で足の異常に気付きやすくなるとともに、普段から健康的な歩行が出来る様になりますので、是非頭に入れておいて下さい!
歩行に関わるアーチと巻き上げ現象
別ブログ(金澤 外反母趾ブログ)でも書いていますが、足部には縦アーチ2本と横アーチ1本にて足底の安定を保っています。
中でも縦アーチが特に体重を分散させる要素を担っており、縦アーチ(三角の二辺)と足底腱膜(三角の底辺)で構成されるトラス構造により荷重を分散しています。
歩行においてもう一つ重要な要素として、ウィンドラス機構があります。
足趾(あしのゆび)が背屈することで、足底腱膜(そきていけんまく)が引かれ結果的に縦のアーチを押し上げる巻き上げ機構のことをウィンドラス機構と呼ばれ、下腿三頭筋(ふくらはぎ)の活動を効率よく蹴り出しにつなげる役割を担っています。
※ウィンドラス機構については、こちらのブログで紹介しております。
靴選びが気になる方はこちらのブログで紹介していますので参考にご覧ください。
回転運動
一見歩行動作は前に足を出して後ろに蹴るだけの動作に見えますが、実は3つの回転運動により衝撃吸収から前方への推進までを効率よく行っています。
歩行時において骨や靭帯が強調しながら体重を受け止めるとともに、体を前に推進させるための3つの回転をご紹介します。
Heel Rocker(ヒールロッカー)
踵(かかと)を接地した後、すね周りの筋肉が伸びながら筋力発揮することでゆっくりと足部を下ろす事ができ、最終的に衝撃を吸収する。
Ankle Rocker(アンクルロッカー)
足の裏に体重が乗って前方に重心が移動していくときに、足部を中心に下腿部(膝と足首の間)がゆっくりと回転するように前方移動して体全体を前に移動させます。
Forefoot Rocker(フォアフットロッカー)
歩行の蹴り出しの際には足首部分ではなく足趾で蹴り出します。その際にも足趾の付け根を中心として回転運動が起こり、スムーズな蹴り出しを可能にしています。
運動連鎖
ここまでは特に足部にフォーカスした内容を述べましたが、歩行は見た通り全身運動の一つです。
足裏から得た情報を感覚として脳に伝えて、足首から順に膝関節・股関節・体幹・上肢に一連の筋収縮が起こって歩行が成り立っています。
その一連性のどこかが故障すると他の関節に悪影響を及ぼし、正常な歩行が出来なくなります。
基本的な考え方として、上行性(下から上に連鎖していく事)に影響が繋がっていくと考えられることが多く足部の些細な異常が結果的には他の関節の痛みや変形に繋がっていることも少なくありません。
私も臨床に立って10年以上になりますが、基本的に変形性関節症を抱えている方は何らかの姿勢または歩行異常や他の関節異常を抱えている事が殆どです。
普段からの意識とセルフトレーニング
ここまでの内容で私たちが普段無意識に行なっている歩行がどの様なメカニズムなのか、正常な歩行がどのようなものかをご理解頂けたかと思います。
ここからは、より健全な歩行を手に入れる為に普段からの特に意識して頂きたい部分やそれを強化するトレーニングについて触れていきたいと思います。
普段どこに意識を向ける?
日常生活を過ごすうえで常に自身の歩行の仕方を意識する事は果たして出来るでしょうか?
デスクワークが増えた現代において歩行数は昔に比べて少なくなっているとともに靴の形状もファッションを意識するあまり足に負担をかけてしまうものも少なくありません。
簡単ではありますが、少し意識するだけでより良い歩行に繋がる内容をいくつかご紹介します。
・なるべく裸足で過ごす
足の裏には感覚を掴むための受容器(メカノレセプター)が多く存在します。
自宅にいる時にも靴下やスリッパなどを長く履いていると上手く受容器が働きにくくなり、結果的に足の疲れや趾(あしのゆび)の使い方が悪くなってしまいます。
一日の中でも裸足で過ごす時間を作るように心がけましょう。
・お尻の筋肉を意識する
歩行に関わる筋肉の中で臀部(おしり)の筋肉が最も大きく発揮する力も強力であるとともに、お腹の筋肉と強調して働く事によって骨盤や体幹の安定に繋がります。
安定した体幹での歩行は運動効率が向上するだけではなく腰痛や肩こりの予防にも繋がりますので、普段歩く時にはお尻の筋肉で後ろに蹴り出すイメージを意識しましょう!
正常な歩行の為のセルフトレーニング
ここでは歩行時に上手く筋肉を働かせる為のトレーニングをいくつか紹介しますので、是非実践してみてください!
・ヒップリフト
・カーフレイズ
・タオルギャザー
自分で正常な歩行かわからない場合〜joyplus.で出来る事〜
正常な歩行を手に入れる為には、まずご自身の体の状態を知る事から始まります。
我々joyplus.グループでは自費施術のみの方にも問診と併せて必ず検査を行い、患者さんご本人が気づいていない部分のチェックや説明をした上で施術しております。
特に姿勢異常や歩行異常がある場合には関節の正常可動域が出ていない事が殆どなので、そんな方にはメディカルストレッチがオススメです♪
国家資格を持ったセラピストが正確な負荷で適切な可動域までストレッチを行う事で、姿勢の改善や筋力強化・疲労回復まで出来ますので是非体感してみてください♪
無意識な意識付け
今回は姿勢から歩行のメカニズムまでを深掘りしましたがいかがだったでしょうか。
特に歩行は日常生活において自然に行なっている為、痛みや違和感などの異常が現れなければ気をつける事は難しいものです。
しかし、人生100年時代と言われる現代において日々正確に歩けているか否かは健康寿命にも直結すると言っても過言ではありません。
今回お話しさせていただいたお尻の意識や足裏で地面を掴む意識は、続けていく事でいずれ無意識に出来るようになり、無意識に正常な姿勢や歩行が取れるようになります。
是非このブログを読んで頂いた方は明日から意識して歩いてみて下さい♪
また、少しでも日常で体の違和感や疑問がございましたら是非joyplus.までお声かけ下さい♪