肩から手先の痺れ、痛み、だるさ | 「胸郭出口症候群」の正体とは

こんにちは。
joy plus.枚方鍼灸整骨院の比嘉です。

洗濯物を干している時や、バスや電車でつり革につかまっているとだんだん腕がだるくなったり、ボールを投げる時、または投げた後に肩から手先にかけて痺れると言った症状を認める場合、それは「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」を疑う必要があります。

人の身体は血管や神経が隅々まで張り巡らされてますが、ある程度は決まった通路を通ります。
その通路が狭くなり、圧迫を受ける事でだるさ、痺れ、痛みに繋がります。

胸郭出口症候群は姿勢不良を正したり、筋緊張の緩和、運動療法などで改善出来ます。 

この記事では、原因・治療法・予防方法などについて詳しく知る事ができます!

胸郭出口症候群について

首から手先にかけて走行している腕神経叢(わんしんけいそう)と呼ばれる、肩周囲から手先にかけて、筋肉や感覚を支配する神経の束や血管が圧迫される事によって起こります。
また、圧迫を受ける部位よって3つのタイプに分類されその総称を「胸郭出口症候群」と呼びます。

腕神経叢とは

人間の体は脳の命令を電気の流れのように神経を通じて様々な筋肉に伝えて身体を動かすことができます。
また、皮膚の感覚などは運動とは逆の通路を介して脳に伝えます。
複数ある神経の中で、頚椎から胸椎にかけて5本の神経が叢(くさむら)のように複雑に交叉している部分を腕神経叢と呼びます。

胸郭出口症候群の3つのタイプ

①斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)

斜角筋とは肋骨から首の骨の頚椎にかけて存在しており、主に首を動かす際に関係する筋肉です。前斜角筋と中斜角筋との間(斜角筋隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
男性に多く見られる姿勢で、肩を上に引き上げる(いかり肩)状態は、斜角筋が緊張してしまうため、隙間が狭くなり感覚の異常が誘発されます。

②肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)

肋骨と鎖骨との間(肋鎖間隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
斜角筋症候群の時とは逆に、なで肩の姿勢を普段から取る場合は、鎖骨が下がり肋骨との隙間が狭くなることで、感覚の異常が誘発されます。
また、この肋鎖症候群は「頸肋(けいろく)」と呼ばれる原因の一つが存在し、胎児期に頚椎(首の骨)から出ている肋骨の遺残したものの一部が通常ではない場所に「頸肋」という骨が出来ることにより誘発される事があります。

③小胸筋症候群(別名:過外転症候群)

小胸筋と烏口鎖骨靭帯と呼ばれる靭帯で作られた間(小胸筋下間隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
高いところにあるものを取ろうとする際など、腕を上げる動きにより神経の通り道が角度を変えるため、小胸筋と肋骨の隙間で圧迫されやすくなります。

どんな人がなりやすいの?

首が長く、なで肩の人(女性に多い)
・重いものを運ぶ事が多々ある人
・過度の筋力トレーニング、筋肉質な人
・手を高く上げるスポーツ(バドミントン・バレー・野球など)
・長時間の事務仕事、デスクワーク
・腕を顔の高さより上へ上げて仕事、作業をする(教師や通勤などでつり革をもつ、洗濯など)
・姿勢が悪い人(猫背、巻き肩など)
などが挙げられ、神経や血管の通路が圧迫されやすい体型や姿勢、生活習慣があるかたは誘発されやすくなります。

原因

首の頚椎は前カーブ(前弯)、胸の胸椎は後ろカーブ(後弯)、腰の腰椎は前カーブ(前弯)と緩やかにS字曲線を描いています。
しかし、現代人の大部分は胸椎の後ろカーブがキツい猫背の状態にあり、その状態は必然的に首や肩の位置が自分の身体よりも前に位置し続けており、首を支える筋肉は大きな負荷がかかり、巻き込み肩になり、背中の筋肉は引き伸ばされて胸の筋肉は縮んでいるといった姿勢が完成します。

また、首が長くなで肩の方はもともと神経や筋肉が引き伸ばされている状態にあるため、胸郭出口症候群の発症割合が多い傾向にあり、女性であれば男性に比べて筋肉が発達していない方の割合が多く、腕の重みで神経が胸郭出口で引っ張られやすくなります。

筋肉質で肩をよく動かす習慣がある人は、度重なる負荷から筋肉の柔軟性が低下し、発症すると言われています。

胸郭出口症候群の症状について

・肩〜腕、ヒジ〜手先にかけて、しびれだるさ・コリ・冷感・うずくような痛み
・手の握力が落ちてくる
・手のひらの小指側の盛り上がり「小指球筋」の萎縮(いしゅく)、また手のの萎縮により手の甲の間がへこむ
・細かい動作などが難しくなる(ボタンの着脱、ペットボトルの開け閉めなど)運動障害
・腕の皮膚が白っぽく(蒼白)になったり、症状が進行すると青紫色になる

などが挙げられます。

初期の症状では、肩がこってる・なんとなく腕や手が動かしにくかったり、だるく感じて自覚していきますが、そのまま進行していくと、腕を上げた際など特定の姿勢や動作で痺れや痛みが現れ、血管が圧迫されると血行が悪くなることで手指や腕の色が蒼白になったり、青紫色に変化するといった目で見ても分かる症状が出現します。

胸郭出口症候群の改善方法

胸郭出口症候群は現れた症状に対して、適切な処置を受けることや症状発現時に無理をせず安静にしていると症状が緩和されたりと改善が期待できます。

ですが、姿勢不良や生活像を改め意識しないと、また誘発する可能性があるため、改善させるためのエクササイズやストレッチについて解説を加えながらお伝えしていきます。

まずは、胸郭出口症候群のセルフチェック!

簡易的なセルフチェックテストをご紹介しますので是非やっていきましょう!
※強い痛みやしびれが生じる場合は無理をせず、速やかに中断するようにしてください。

①Roos test(ルース テスト)  

両手を挙げて胸を大きく張る姿勢を取りながら、1秒毎に手をグーとパーに繰り返し、1分〜2分間動かしていきましょう。
時間内で手のダルさやしびれなどが増強していき、手が挙げられない状況になり、腕を降ろせば症状が楽になるといった場合は胸郭出口症候群を疑って良いかもしれません。

②Adson test(アドソン テスト) ※画像2

手のひらを前に向け腕を下ろしリラックスさせた状態で顔は斜め後ろ(痛みがある方)を見るようにしながら首を後ろに倒していきます。
この時斜め後ろを向くとき、一緒に体が後ろに捻らないように注意しましょう。
手先の冷え感やしびれが生じる場合は胸郭出口症候群を疑ってもよいかもしれません。

※あくまで簡易的なセルフチェック方法なので、胸郭出口症候群を確定させるものではありません。

姿勢改善方法

1.キャット&ドッグ 

・肩の真下に両手、骨盤の真下に膝がくるように四つん這いになる
・目線をおへそに向けながら背中を天井に突き上げるイメージで丸みを持たせ伸ばしていきます
・目線を上げ、肩甲骨を寄せることを意識して、背中を反らせてお腹を伸ばしていきます

この動作をゆっくりとした自然な呼吸で繰り返し行います。
キャット&ドッグは、知らず知らずのうちに背中が丸みを帯び、肩、首の位置が前に出て胸部が閉じた猫背姿勢を改善しつつ、肩甲骨、胸椎、骨盤の一連の動きが良くなり柔軟性が上がることで使える筋肉活動が増加し、良質な姿勢を保ちやすくなります。

2.菱形筋のエクササイズ ※画像4

・姿勢を正して、ヒジを前に伸ばし軽いボールなどを使い肩幅くらいの隙間を両手の間に作る
・ボールを保持し、ヒジの関節は伸ばしたまま肩甲骨を内側に寄せていきます

この動作をゆっくりとした自然な呼吸で繰り返し行います。
菱形筋とは、背骨の胸椎から肩甲骨の内側に向かって付着しており、肩甲骨を内側に寄せる働きがありますが、猫背の姿勢はずっとストレッチがかかっている状態になるので、このような筋肉を縮ませるエクササイズをする事で、菱形筋を刺激して巻き肩になるのも防ぎます。

3.シュラッグ(僧帽筋上部繊維のエクササイズ)

・軽く手を握り、脚は腰の幅に合わせ、胸を張る
・両肩をすくめように高く上げ、ゆっくりおろしていきます。

慣れてきた場合、500mlの液体が入ったペットボトルなどのまずは軽い重りを加えて行うとより効果的になります。

4.肩甲挙筋のストレッチ 

・軽くリラックスした状態で椅子に腰掛け、伸ばしたい方の肩に手を置き、 置いた手と反対方向に顔を向けながら首を横に倒していきます。
・首を倒していく時に、置いた手で肩が上がっていくのを押さえながら、その状態で5回程度深呼吸していきましょう。


なで肩は僧帽筋の筋力低下と肩甲挙筋という筋肉が硬直していることが原因の1つなので、自身に合った程よい回数をこなしましょう!
また、肩甲挙筋のストレッチは「いかり肩」の方にもおすすめのストレッチになりますので、是非、試してみてください!

胸郭出口症候群は日常生活を改めることが重要

今回は、胸郭出口症候群について説明してきました。
この症状は、普段の姿勢や生活像が大きく関係してきますので、改めて自分の事を見直すキッカケになったのではないでしょうか?

疲労を感じた際は、無理をせず十分な休憩をとる必要があります。
入浴により身体を温めることで、血流が促進され、疲労回復を促し、荷物を持つ際などはリュックを使用して一方にかかる肩への負担を減らし、片方の手で持つ場合も適度に左右交代で持ちましょう。
普段の姿勢に関しましては、ずっと正しい姿勢でいる人の方が圧倒的に少ないので、ふと気がついた時に少しの間胸を張り、背筋を伸ばす。こういったことをこまめに意識していき、ストレッチやエクササイズでより快適な生活を心がけてください。

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