クーラー病にはお灸 | 自宅でセルフお灸生活!
皆さんは鍼灸治療にどのようなイメージをお持ちですか?
『はりって痛そう…』
『お灸って熱いの?』
『効果があるとは聞いたことあるけど、どんな症状に効果があるの?』
『マッサージではダメなの?』
今あげたのは実際に私が持っていた印象です。
しかし、今は皆さんに鍼灸ってすごいと胸を張って言えます。
怪我に苦しむ中で鍼灸治療に救われ、鍼灸師になった今も、セルフお灸を続けることで「クーラー病・生理痛・冷え」が改善しました。
また、その他にもお灸で
不眠が改善したり
お腹の調子が整ったり
鍼灸の力に驚かされています。
そこで今回は、みなさんが抱える体の不調を改善する手助けができればと思い、鍼灸について少し掘り下げながら、お家でできる「セルフお灸の方法」や「おすすめのツボ」についてご紹介させていだきます!
鍼灸の力で健康な身体を手に入れましょう!
鍼灸治療って?
まずはじめに鍼灸治療について簡単に説明していきます。
鍼灸治療は「はり」と「きゅう」と言う道具を用いて行う治療で、広く言えば「あんまマッサージ」や「漢方薬」も鍼灸の分類に含まれます。
基本的には『東洋医学』と呼ばれる考えをもとに、患者さんの体の状態を様々な方法で確認し、筋肉や神経・ツボに必要な刺激を加え体の状態を整えていきます。
では、さっそく鍼灸について掘り下げていきましょう!
東洋医学って?
東洋医学は古代中国で起こった中医学が日本に伝わり日本独自に発達したもので2000年以上の歴史を持ちます。
みなさんが普段身体が不調な時は病院に行き、検査を受け、時には手術を受けたりするのは主に西洋医学にあたります。
西洋医学は病気の原因に対して直接アプローチを行い、東洋医学は体の内側から整えて病気を予防する・病に打ち勝つ体にしていくといったイメージです。
このお話をするとどちらの方が良いのか?
という疑問が出てくると思いますが、この2つを分けて考えるよりは、近年ではこの2つの医療が融合し、患者さんにとって最善の医療を提供できるように日々発展しています。
養生という考え方
人には病気にかからないようにする力、病気にかかっても自分で治そうとする力が備わっていて、自然治癒力、免疫力など様々な呼ばれ方をしていますが、東洋医学の考えの一つに
「未病治(みびょうち)」(未だ病まざるを治す)というものがあります。
健康といっても全ての方が同じ健康なのではなく、健康の程度にも、
高い状態(とても健康)から
低い状態(ちょっと健康)
まであり健康の程度が低くなると病気に至るので、健康の程度を高くして病気を予防しようという考え方です。
そして、健康の程度を高く保つためには『養生』が大切になってきます。
養生とは「生命を養うことであり健康増進を図ること」で、食事や運動などによる方法がありますが、その1つに『お灸」による養生があります。
それでは『きゅう』について詳しく説明していきます!
きゅう
「きゅう」は、よもぎの葉を原料にした艾(もぐさ)を使用して行う施術です。
方法は大きく2つあり、直接皮膚に置いて灸痕を残すように施術する「有痕灸」と皮膚に灸痕を残さない「無痕灸」の2つに分けられます。
実はお灸は鍼灸師の指示に従えば自宅でも行う事ができるのですが、セルフケアでのお灸は無痕灸にあたり、正しく行えばほとんど火傷の心配もありません。
また、セルフケア用のものは薬局などで販売されるようになり、手に入れやすく身近なものになりました。
セルフお灸について
最近、「お灸女子」といった言葉もちらほら耳にするようになってきましたが、期待できる効果や方法は詳しく知らない方が多いと思います。
そこでここからは、東洋医学のお話も交えながら、セルフケアの方法、期待できる効果について詳しくお話していきます!
セルフお灸の方法
順序は、①ツボを探す②お灸に火をつける③お灸を外す
といったものですが、注意点があるので詳しくはこちらの動画をご覧ください。
頻度としては、1日1回を目標にまずは1ヶ月続けてみましょう!
(症状や体質によって効果の表れ方や、効果を体感するまでの期間は様々です。)
※糖尿病や皮膚疾患などでお灸が行えない方はツボを指で押さえるだけでも効果が期待できます!
気の流れが整う!?
東洋医学では、「気・血・津液」※1と呼ばれるものが体を巡っているのですが、これらが不足したり、多くなったりすると体に不調が起こります。
「気・血・津液」は目に見えるものではないですが、様々な役割があり、身体にとってとても重要なものです。
そのうちの『気』についてお話しすると、『気』は生命エネルギーなので『気』が無くなると人は死に至ります。
これらに異常が起きた状態を元に戻していくのがツボへの刺激です。
(オススメのツボは最後に紹介します!)
気が足りていないところ、滞っているところに刺激を加えることで、気の流れをスムーズにしていきます。
そうすることで、冷え性やむくみの改善、慢性的な痛み、疲労感の改善へと繋がります。
※1
気(き)→生命活動のエネルギー源(4種類ある)
血(けつ)→血脈中を巡って栄養素を全身に運ぶ(気によって運ばれる)
津液(しんえき)→血以外の全ての水分(気によって運ばれる)
免疫力アップ!?
先ほど『気』についてお話しさせていただきましたが、気の作用の1つに「防衛作用」があり、気の状態が整うことで体内に邪気が侵入するのを防ぐことができます。
そして、腸の状態を整えることにも繋がるので、人に備わっている免疫機構が正しく機能し、ウイルスや細菌に打ち勝てるようになります。
また、気の「温煦(おんく)作用」により、体温が上がることでも免疫力がアップします。
体温が1度下がると免疫力が30%程下がると言われるように体温を高く保つのはとても大切なことです!
オススメのツボ
では最後にセルフケアにオススメのツボを部位別に紹介していきます!
効果が期待できる症状も一緒にまとめているので、自分にあったツボを選んでセルフケアの参考にしてください!
また、より詳細なものは「せんねん灸」で検索するとたくさん出てきます!
足のツボオススメ3選
①三陰交(さんいんこう)
場所は内くるぶしから指4本分の骨の際
・冷え性
・生理痛
・むくみなどに効果があります!
②太渓(たいけい)
場所は内くるぶしとアキレス腱の間
・腰痛
・耳鳴り
・不眠などに効果があります!
③足三里(あしさんり)
場所はお皿の下のくぼみから指4本下
・膝痛
・お腹の不調
・下痢などに効果があります!
手のツボオススメ3選
①合谷(ごうこく)
親指と人差し指の付け根の間
・風邪のひきはじめ
・目の疲れ
・頭痛などに効果があります!
②手三里(てさんり)
肘の外側の骨から指3本分
・肘の痛み
・肩こり
・お腹の不調などに効果があります!
③曲池(きょくち)
肘を曲げた時にできる外側のシワ
・頭痛
・喉の痛み
・肌荒れなどに効果があります!
お腹のツボ3選
①中脘(ちゅうかん)
お臍に小指を当て、指5本分上で親指のところ
・胃の不調
・食欲がないなどの症状に効果があります
②天枢(てんすう)
お臍から指3本分外のところ
・下痢
・便秘などの症状に効果があります
③関元(かんげん)
お臍から指4本分下のところ
・冷え症
・元気が出ないなどの症状に効果があります
セルフお灸で健康な体を手に入れましょう!
今回は鍼灸治療の魅力やセルフケアについてお話しさせていただきましたがいかがだったでしょうか?
少しでも鍼灸治療に興味が湧いた、お家でお灸をしてみようと思うきっかけになれば幸いです。
また、つかしん院ではセルフお灸ようの販売や、鍼灸による『全身調整メニュー』も行なっております。我慢しているお身体の不調があればお気軽にご相談ください。
〜参考文献〜
・<はりきゅう理論>教科書執筆小委員会著.公益社団法人東洋療法学校協会編
・<東洋医学概論>教科書執筆小委員会著.公益社団法人東洋療法学校協会編
・<東洋医学のしくみ>監修者:兵頭明.発行者:富永靖弘.発行所:株式会社新星出版社