腰痛Q&A|~実際の腰痛患者さん声を質問形式で回答!〜
こんにちは。今年は例年に比べると桜が長く咲き誇り、とてもキレイでしたね。皆さんはお花見に行きましたか?
四季があり、一番過ごしやすいはずの春と秋がとても短く感じ、
楽しみが少なくなっている気がしているjoyplus.鍼灸整骨院の“通称きん爺”こと堤です。
(筋肉をこよなく愛する中年セラピストで、きん爺と呼ばれています。)
本日のテーマは腰痛症について現場で患者さんからよく聞く質問をまとめQ&A方式でその質問にお答えいたします‼
日頃から腰痛でお悩みの方に少しでもお役に立てられる内容をお届けできたらと考えております。
このブログを最後まで読んでいただくことで「腰痛とは何か、
予防対策のオススメ体操、運動の実際、日常生活でできることや注意点などを知ることができると思います。
□Q&Aで腰痛を知ろう
早速、患者様が感じていることをQ&A形式で解説していきます。
~Q:一生涯で腰痛を感じる人の割合はどれでしょう?~
1:10~30%
2:40~50%
3:60~80%
答えは・・3
腰痛の生涯有病率は60~80%です。
腰痛とは、その痛みの程度に差があるものの、ほとんどの人が経験する症状の一つです。
腰痛は肥満・喫煙・姿勢・生活サイクル・さらには老化など複数の要因が重なり合ってつくられた症候群です。加齢とともにその割合は高くなります。
厚生労働省国民生活基礎調査の有訴受診率では、腰痛症は男女あわせて1位であり、整形外科外来患者の60%にものぼるとされています。
有病率は男性25,2%、女性30,5%であり実に日本国民の1,800万人以上が罹患していることになります。
また、45歳以下の就業不能原因の1位とされ、重大な社会問題にもなっています。
腰痛は“腰が痛い”という総称であり、腰痛という病態が存在するわけではなく、
椎間板性・椎間関節性・仙腸関節性・筋・筋膜性などの構築学的支持機構の破綻はもちろん心理・社会的問題も含めて原因は多岐に渡ります。
でも、次のようなことも言われています。
① 非特異的腰痛(原因不明)は85%とされているが、病態別に分類すれば78%は特定できる可能性がある。
■ 筋・筋膜性腰痛…17.5%
■ 椎間関節性腰痛…21.3%
■ 椎間板性腰痛…12.5%
■ 仙腸関節痛…5.6%
■ 椎体圧迫骨折…3.1%
■ 椎間板ヘルニア…6.9%
■ 脊柱管狭窄症…10.9%
■ その他(感染症、心因性)…0.6%
※ すべてがこのデータ通りになるほど、腰痛が単純ではないそうですが、知見の一つとして知っておきましょう。
これらを考えると、まずは医療機関でX線画像や(必要であればMRI…磁気共鳴画像)医師の診断、治療方針を正しく理解することが大切なんだと思います。
~Q:腰痛が自然軽快する割合は次のうちどれでしょう?~
1:30~35%
2:50~55%
3:80~85%
答えは・・3
腰痛は6~12週ぐらいで、80~85%が軽快します。ただ、そのうち60%は再発します。3ヵ月以上続くものを慢性腰痛といいます。
慢性腰痛は、心理的な要因や、人間関係でのストレスなど社会的な背景が関与していることが多いです。
~Q:緊急に受診する必要がある症状は次のうちどれでしょう?~
1:姿勢やカラダを動かすと腰が痛い。
2:腰そのものの痛みより、片側の下肢痛が強い。
3:安静時により腰が痛む。
4:急に歩きにくくなった。
答えは・・4
馬尾症候群の可能性があるからです。馬尾神経は脊柱の下の方にある神経で馬のしっぽの様なカタチをしています。
馬尾症候群は、排泄・排尿障害(肛門が閉まらない・尿がでにくい・歩けないなど・・・)を引き起こします。
緊急手術が必要で、発症から48時間以内に手術ができるかどうかで予後が違ってくると言われています。
2の場合は、神経根性疼痛の疑いがあります。6週間以内に50%が改善するそうです。
3の場合は、急変の可能性は低いものの、
重篤な脊椎病変(腫瘍・感染症・がんなど)が潜んでいる可能性があるので早めの受診をお勧めします。注意しなければいけないのは・・・
■発熱している
■転落した
■激痛
■繰り返す腰痛
■長く続く腰痛
■いつもと違う腰痛
■膝がガクガクする
■スリッパが脱げやすい
■足のしびれ
■排尿・排便障害
~Q:自分自身で腰痛を予防することはできますか?また、なぜ動かす方がいいのですか?~
ここで腰痛に限らずカラダを動かすことがなぜ良いとされているかをご説明いたします。
痛みが強い時は、動きたくないものです。
この反応は生体の防御反応としては、正常の反応ですが慢性痛のように痛みのために動かない時間が長時間続くと、状況は一変します。
一般的に長時間筋肉を動かさないでいると筋力は低下し、廃用性萎縮と呼ばれる状態になります。さらに筋肉を動かさなければ関節拘縮になります。
これらが生じると、動きが制限されるのはもちろんのこと、廃用性萎縮を起こした筋肉や関節拘縮が起こった関節の動きを他の筋肉や部位が代償しようとし、
負担をかけることで二次的な痛みが出現します。
このように、筋肉を長時間動かさないことで新たな痛みを引き起こす可能性があることから、筋力を増強させる運動や関節を動かすような運動を指導します。
これらは、筋力トレーニングや関節可動域訓練と呼ばれ、痛みに対するリハビリテーションとしては一般的な方法です。
一方、歩行や体操などの軽度な運動は廃用性萎縮や関節拘縮を予防するだけでなく、
その運動自体に鎮痛効果があるのではないかと言われています。そのメカニズムはこうです。
一般的に、軽度の有酸素運動を行うと、脳内から内因性のオピオイド物質が放出されることが知られていることから、
痛みがある程度あってもカラダを動かすことはとても大切だと考えられています。
ただし、運動の量・強度は、痛みの強さや疾患の種類により異なり、個人差があるので運動を行うには専門家の指示を受けることが望ましいと思われます。
いずれにせよ、痛みが長期化した場合は、カラダをを動かすことが大切です。
■関節可動域訓練は、萎縮や拘縮だけでなく、痛みの予防にもなる。
■軽度な有酸素運動(歩行、ランニング、エアロビクスなど)は、脳内からオピオイド物質を誘発することで、痛みを抑制する。
※ 内因性のオピオイドとは…
脳内麻薬あるいは脳内モルヒネと言われるが、より専門的な言い方が内因性のオピオイドになる。
生体内にあってモルヒネ様の薬理作用をもつ一群のペプチドの総称。
~Q:悪い姿勢は腰痛の原因ですか?~
はい。不良姿勢は要因の一つだと考えられています。
皆さんは日頃、自身の立ち姿や座り姿勢、歩く時の姿勢を気にしたことはありますか?自分にとって楽な姿勢が、良い姿勢とはかぎりません。
むしろ悪い姿勢が習慣付いていることの方が多いのではないでしょうか・・・。姿勢は人生を映し出す鏡です。いや、アナタの歴史そのものかも知れません。
骨盤の動きひとつで腰椎への負担が変わってきます。
骨盤が前に傾くと腰椎の背中側の筋肉が、後方に傾くとお腹側の筋肉が緊張します。
どちら側の筋肉の働きも均等な場合が腰椎にとって一番負担の少ないニュートラルな状態です。
腰痛になってしまったら骨盤の傾きや背骨を反らせたり前かがみにして一番楽な姿勢を探ってみてください。
座る場合でもなるべく座骨の2点で、真っすぐに正しく座ると背骨の中心に重心がくるので、筋肉の負担が少なくなります。
~Q:筋肉はどこを鍛えると効果的ですか?~
腰椎を安定させるため、多くの筋肉が働いています。
姿勢を保つにはお腹の奥にある筋肉(腹横筋など、素早く動いて背骨を守る自前のコルセットと呼ばれる)を鍛える方が有効だと言われています。
鍛えるというと筋力トレーニングなど、ストイックにガンガン負荷をかける、というイメージがあります。
ここでいう鍛えるという意味は、見えるところではなく「キレイな姿勢や動かしやすいカラダづくりを目指す」という重要な観点です。
その前に、姿勢保持に関係する胸腰筋膜のことを少しお伝えします。
先ほど、骨格のお話をさせていただきましたが、筋膜についても触れておきたいと思います。
筋膜とは、全身の筋のほか、骨や心臓、脳などの臓器をすべて包んでいる膜のことで、全身をくまなく覆っていることから第2の骨格とも呼ばれています。
筋膜は水溶液状の間質液でできています。
この筋膜がよじれたり、癒着したりすると筋膜そのものだけでなく、上にある皮膚や下にある筋肉も動きずらくなります。
そのためキレイな姿勢や動作が取りづらくなり、腰痛や肩こりの一要因となることも分かってきています。
筋膜のなかでも姿勢と密接に関わるのが体幹部に存在する胸腰筋膜です。
この筋膜は数層からなり、背部に広範囲にわたる筋膜系で、脊柱起立筋・多裂筋・腰方形筋・腹横筋によって支えられています。
これらの筋群が胸腰筋膜の張力を高め安定化機構に寄与しているのです。
さらに胸腰筋膜は、腰椎の屈曲限界域で緊張し、屈曲を制限するほか、動的な安定化機能も見られます。
(動的安定化機能…姿勢の変化、歩行、外乱などの際に、姿勢を保持するもしくは別の安定した状態になる機能。)
また、広背筋の腱膜と下後鋸筋、内腹斜筋および腹横筋とつながる線維が、胸腰筋膜の外縫線(これらの筋肉が一体化する部分)で一体となり、
このためこれらの筋の収縮によって屈曲した筋膜を介して筋膜の張力が高まり、これも腰椎を安定させるチカラになります。
人間のカラダにはコルセットの役割をしているインナーユニットという働きがあります。
腹腔を取り囲む、腹横筋・横隔膜・骨盤底筋・多裂筋の4筋があります。
個々の機能のほか、腹腔内圧の維持・上昇を行いますが、
腹横筋などが収縮して、腹腔内圧を上昇しようとしても、骨盤底筋が底面で支持しきれなければその機構はうまく働かないのです。
最後に、呼吸の重要性にも言わせてください。実は、呼吸も姿勢や安定性に影響を及ぼします。
息を吸うと胸椎が伸展、胸郭が挙上し、脊椎が正しく配列します。
肋間筋も呼吸をしたときに肋骨を安定させて動かす姿勢筋として機能します。呼吸に関わる横隔膜も、腹横筋と共同して安定化機能に寄与しているのです。
外見も見論、大切ですが本来キレイな姿勢を保ったりカラダに“軸”をつくりブレない、安定した動きやすさを導き出すのは見えない筋肉たち。
インナーユニットなのです。
腰痛を予防できることを知ろう!
皆さん、最後までお付き合いくださり、本当にありがとうございました。医療現場では様々な腰痛患者さんが毎日のように質問を投げかけてくださいます。
医療機関を受診した方が良いケースもありますが、筋・筋膜性腰痛、靭帯性腰痛、椎間関節性腰痛は自然と軽快するものも多いと言われています。
まだまだ腰痛症に関するたくさんのご質問があります。いずれまた続編をやりたいと考えております。
長文、ご容赦ください。
整骨院で、施術可能な症状には対応致します。
ご不明な点やご質問などあればLINE@やメールでお問い合わせ頂ければ幸いです。
■参考文献・記事
□正しく理想的な姿勢を取り戻す姿勢の教科書(竹井 仁・ナツメ社) □第179回らくわ健康教室「腰痛について~理学療法士の立場から~【2014年1月30日 開催】
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