雨の続く時期に下痢になるのは何で?|東洋医学で改善できますか? 

先生、全体的に体がだるくて下痢が続きます

いつぐらいからその症状が出ていますか?

年がら年中胃腸は調子よくは無いですけど、雨が続く時期は特に辛い気がします

長く患者さんと接していると、湿度が高くなると胃腸の調子が悪くなるという声をチラホラ聞きます。

病院に行くほどでもない、行ったけど異常がない…、そういった方がほとんどです。

このところ何回か『東洋医学』関係の記事を書かせていただいてますが、皆さん付いてきてくれていますか?

「正直難しい」


そうでしょう、私も書いていて難しいです。
今回は前回、前々回の記事をおさらいしながら「湿度の高い時期の不調」について掘り下げていきたいと思います。

このブログを読んで少しでも雨の日を快適に過ごすヒントを見つけてもらえたら幸いです。

『梅雨』は季節ではない?

雨の時期、と聞いて最初に思いつくのが『梅雨』だと思います。

この記事で『五行』について書きましたが、表の『五季』のところで「ん?」と思った方はいませんか?

前回、

の記事で書いた内容を少し振り返りましょう。


万物を木・火・土・金・水の五つの要素に当てはめると、草木が芽を出し万物が生じる『春』は五行では『木』にあたります。

そして体の中の臓器のうち主要な五つの臓器-肝・心・脾・肺・腎-を五臓といい、五行をこれらの臓腑に当てはめると『木』は【肝】に対応します。


『五行』に当てはめるのに『四季』は4つしか無くない?

よくこの四季に「梅雨」を足して五季とする。
あるいは五季とは明記しないものの、東洋医学の季節ごとの症状を取り上げる際に春と夏の間に「梅雨」を入れている文献を見ます。

私が学生の時にも東洋医学概論で五季は春夏秋冬と梅雨、というようなニュアンスで習った気がします。

おそらく「土」にとっての「五悪」、病気になりやすい時期にあたるのが【湿】なのでそことの関連があると思われます。

なので今回のブログでも時期ごとにみられる不調の一つとして梅雨をとりあげていきます。

しかし、『脾』の項目で『五季』にあたるのは正確には『土用』です。

前回のブログで「土用ってなんやねん」と思ってくださった方は、とても丁寧に私のブログを読んでくれていますね。

ありがとうございます。

土用ってなんだ?


今回の梅雨の症状からは脱線しますが、せっかくなのでちょっとだけ『土用』の豆知識をお伝えしましょう。

実は春・夏・秋・冬にそれぞれ木・火・金・水を当て、各季の終わり18日間に土を当てはめたものが土用にあたります。

各季の土用があけると立春、立夏、立秋、立冬となります。

東洋医学に詳しくなくても「土用の丑の日」は知っている方がほとんどでは無いでしょうか?

立秋前の18日間の夏土用のことを指し、暑中お見舞いを出す時期になりますが、最近は出す方も少ないからピンときませんかね?

ウナギを食べる日という認識でしょうか……

ちなみにこの「土用の丑の日」にウナギを食べるよう仕掛けたのは江戸時代の発明家平賀源内だと言われています。
この日に「う」のつくものを食べると病気にならないという言い伝えから、夏場に売れなくなると言われていたウナギ屋さんが困っているのを見て提案したのだとか。

そして梅雨時期に雨が降らないと夏の土用に災害が起きやすいというデータもあるようです。

そうならないよう、梅雨には適度に雨が降ってほしいものですね。

雨の多い時期の不調の原因

さて、本題に戻りましょう。

東洋医学では病気の原因を体の体質に加えて、体を取り巻く環境などの因子、飲食、疲労などが複雑に関係していると考えています。

その中でも気候による影響はかなり大きいと考えられており、前述したように季節ごとに影響を受けやすい臓器があり、気候の変化に伴い発生しやすい病気があります。

今年は梅雨が明けてからの方が雨は多いですが、一部のアジア地域でみられる一種の雨期である梅雨は、蒸し暑く【湿邪】に侵されやすい時期です。

内因(ないいん)・外因(がいいん)・不内外因(ふないがいいん)のお話

東洋医学における病気が起こる原因には「内因」「外因」「不内外因」の三つが挙げられます。


【内因】

その人がもつ体質の事ですが、主に精神面を重視します。

「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」(七情)という感情が体に影響を与えると考えています。

【外因】

前述した「湿邪」は【外因】の一つです。

体の外から入ってくるもので、主に気候の変化によるものとされています。

「風・寒・暑・湿・燥・火」に分けられます。

【不内外因】

内因、外因どちらにもあてはまらない、飲食や疲労のほか外傷などが原因で病気になるものを言います。

【湿邪】による体への影響

湿度が高い雨の日は何と言ってもジメジメして【湿邪】に侵されやすいです。

体は湿気の影響でだるく、関節痛やこむら返りが起きやすく、足がだるくなります。

胃腸に湿邪が入ると便がゆるくなり、お腹が張って、もともと胃腸に疾患を持っている方は悪化しやすくなります。

五臓『脾』で考える体の不調

では、前に私が書いた五行についてのブログを振り返りましょう。

「土」にとっての「五悪」、病気になりやすい時期にあたるのが【湿】。

湿度が高い時期の不調について【脾】にスポットを当てて考えてみようと思います。

【脾】の力が不足、弱いときに出やすい症状

あてはまるものはありますか?

□食欲不振

□食後に腹部が張る

□水っぽい下痢

□無気力

□全身の倦怠感

□やせ、または水太り

□顔面に疲労感があり黄色っぽい

【脾】が強くなりすぎているときに出やすい症状

こちらはどうでしょう?

□頭が重い

□口の中が乾燥してねばねばする

□胃のつかえ

□食欲過多

□吐き気・嘔吐

□腹痛

□泥状便

□むくみ

相生関係(そうせいかんけい)と相剋関係(そうこくかんけい)

はい、ではまた前回のブログのおさらいです。

五行説とは、木・火・土・金・水が互いに助け合い、また抑制しあっていくという運動法則です。

互いに助け合うのが相生関係(そうせいかんけい)、互いに抑制するのが相剋関係(そうこくかんけい)です。

脾(土)は肺(金)の母、心(火)の子、腎(水)の見張り役です。

「脾」は肺へ「気」や「血」を運んで潤いを与え、「肺」は気や水分を体の上下へ送る作用で「脾」の消化吸収や栄養を全身に送る機能を補います。

「心」の血が不足すると不眠や不安感、無力感等が増し、「脾」が司る胃腸の機能が更に低下していきます。

「脾」は栄養を全身に送り「腎」の生命エネルギーを補充し、「腎」は「脾」を温め機能を助けます。

疲労や慢性疾患で「腎」が弱ると余計な水分が停滞し、さらに冷たいものを取りすぎると「脾」の機能が低下していきます。そうなると下痢などをおこしやすくなります。

梅雨時期を乗り切るアドバイス

湿度が高いからダルいとかは何となく分かっていたけど、胃腸の不調も湿度の影響を受けてるとは思いませんでした

そうね。では、最後に雨の日を健やかに過ごす工夫を伝授するわね

消化のいいものを食べよう!

当たり前のことですが、胃腸の調子が悪い時に負担を掛けないのが一番です。

間違っても筆者のように、下痢が続くときにカレーなど刺激物をとってはいけません。

消化に良い+『五色』で「土」に当たる+五味では「甘」にあたる食べ物……

ということでかぼちゃやイモ類、栗などが良いとされています。

黄色いけれどカレーはダメです。

五味で「甘」にあたる脾は、機能が強すぎる時に「甘いもの」を過剰摂取したくなることがあります。

上記のチェックで【脾】が強くなりすぎているときに出やすい症状にチェックが多かった方は、甘いのもがどうしても我慢できない時はできるだけ自然の甘味を取るようにしましょう。

おススメのツボ【三陰交】

内くるぶしから指4本上にある「三陰交」は「気」のめぐりを良くして胃腸の働きを助ける脾経のツボです。

生理痛などにも効果が高いので、上のチェックで脾の力が不足している項目にチェックが多かった方は三陰交にお灸をしてしっかり温めてあげるのがおススメです。

お灸が苦手な方は足湯が良いでしょう。

足首周りを温めることで心臓に戻っていく血流が温められます。その途中で胃腸などの消化器も温めてくれます。

東洋医学で雨の憂鬱を吹き飛ばせ!

【湿】と「胃腸の不調」を中心に書いてみましたが、雨の時期の不調が自分一人ではないということにまずは安心していただけましたでしょうか?

joyplus.鍼灸整骨院では、東洋医学に基づいた全身治療を行っている院があります。

今回取り上げたような不調も治療対象になりますので、詳しく聞いてみたい方はお近くのjoyplus院の鍼灸師の先生に相談してみてください。

それでは雨が続く時期も、元気に過ごしましょう!!

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