お子さんが訴える足首の後ろの痛み|現役トレーナーが詳しく解説!
こんにちは、joyplus.鍼灸整骨院の中居です。
スポーツを一生懸命されているお子さんの足首でこのような症状でお困りでないでしょうか?
☑つま先立ちをすると痛い
☑運動中徐々に痛くなる
☑ボールを蹴る時に痛む
上記のような症状がある場合、サッカーやバスケットボール、クラシックバレエをされている方に多くみられる後方インピンジメント症候群の可能性があります。
※後方インピンジメント症候群・・・スポーツのキック動作やジャンプ動作などで脛骨(すねの骨)と踵骨(かかとの骨)の衝突や軟部組織(筋肉や靭帯)が挟まれて痛みを引き起こす疾患です。
また、三角骨と言われる余剰骨(生まれつきある余分な骨)が脛骨(すねの骨)と踵骨(かかとの骨)に挟まれて痛みや炎症を引き起こす疾患。
『痛いのはスポーツしている時だけだから』『時間が経てば自然に治まるのではないか?』と考えていると長い期間休養や手術の必要性などスポーツができなくなる期間が増えてしまうことにも繋がりかねません。
今回はこのようなケースでお悩みになる方が少しでも少なくなるように、後方インピンジメント症候群の原因と改善方法を書きましたので是非最後までご覧ください。
目次
足関節後方インピンジメント症候群について解明しよう!!
足首の痛みの原因といってもスポーツの種類や時間、負荷のかけ方等によって様々な違いがあります。
また痛め方についても捻挫や疲労骨折、アキレス腱の炎症など様々ありますが、今回お話しする足関節後方インピンジメント症候群については様々な要因が絡み合って発生します。
その詳細について一つずつ紐解いていきましょう!
そもそもインピンジメントと三角骨ってなに?
・インピンジメンとは
『衝突』『挟まる』という意味で、骨と骨の衝突や筋肉が挟まれることを指します。
つまり衝突・挟まりにより骨の異常や筋肉の炎症などが二次的に生じ、結果的に痛みが出現します。
・三角骨とは
足関節の後ろの余剰骨(よじょうこつ)です。足関節を構成する距骨(きょこつ)という骨の後ろ側に外と内に結節(骨のでっぱり)があります。
この結節は成長期では成長軟骨で柔らかく、成長とともに距骨と接着して1つの骨となります。
しかし、1つの骨にならず余剰な骨として残った状態を三角骨といいます。
本来は無症状ですがスポーツをする中で脛骨と踵骨に挟まれて痛みが生じる場合があります。
足関節後方インピンジメント症候群とは
足首を繰り返し曲げる動作や過度に曲げる、足首を捻挫をした際に見られる疾患で、足首の後ろの痛みや腫れ、足首の後ろを押すと痛いなどが主な症状です。
また、足関節後方インピンジメントは①骨性インピンジメントと②軟部組織性インピンジメントの2つに大別できます。
①骨性インピンジメント
三角骨が存在することにより脛骨と踵骨に三角骨がインピンジメントし、痛みを生じる場合があります。
また、距骨の後突起(骨のでっぱり)がインピンジメントにより骨折や骨棘、炎症性の石灰化が発生するなど、骨由来の症状のことを骨性インピンジメントといいます。
②軟部組織性インピンジメント
長母趾屈筋腱炎(足の親指を曲げる筋肉の炎症)や滑膜炎(関節で潤滑液の役割をするものが炎症)などが発生します。
また、捻挫やスポーツにより損傷した靭帯や関節包(関節を包む袋)が線維化、肥厚、変性など軟部組織由来のことを軟部組織性インピンジメントといいます。
後方インピンジメント症候群の原因について
底屈(つま先を下に下げる動作)の繰り返しや過度の底屈などの足首の後ろへの圧縮ストレスが原因です。
サッカーのインステップキック動作やクラシックバレエのポワント姿勢などで骨同士のインピンジメントや軟部組織のインピンジメントにより骨棘(こつきょく)や石灰化、腱鞘炎などが発生し痛みが生じます。
練習量の増加から繰り返しの負担により発症するものが大きな原因ですが、捻挫などの外傷で発症する可能性もあります。
~足首の後ろに圧縮ストレスが起こりやすくなる原因~
①足首の可動域の低下
②筋肉の柔軟性の低下
③足首の不安定性
以上3つが大きな原因ですので注意が必要です!
セルフ評価法を紹介
①②③に当てはまる人は特に足関節後方インピンジメント症候群になりやすいので、ここでは自宅でできる簡単な評価方法を解説していきます。
評価方法
簡単な9つの質問に答えてください!
Q1足首に痛みがある
1.ない(5点)
2.スポーツをしているときのみ(4点)
3.平坦ではない道を走っているときのみ(3点)
4.平坦な道を走っているときのみ(2点)
5.平坦ではない道を歩いているときのみ(1点)
6.平坦な道を歩いているとき(0点)
Q2足首に不安定感がある(グラグラする感覚)
1.ない(4点)
2.スポーツをしているときに時々感じる(3点)
3.スポーツをしているとき感じる(2点)
4.日常生活で時々感じる(1点)
5.日常生活で感じる(0点)
Q3切り返し動作で不安定感を感じる
1.ない(3点)
2.走るときに時々感じる(2点)
3.走るときに頻繁に感じる(1点)
4.歩くときに感じる(0点)
Q4階段を降りるときに不安定感を感じる
1.ない(3点)
2.急いで降りるときに感じる(2点)
3.時々感じる(1点)
4.常に感じる(0点)
Q5片足立ちになった際に不安定感を感じる
1.ない(2点)
2.ボールなど不安定な上に乗ったときのみ感じる(1点)
3.平坦な場所でも感じる(0点)
Q6以下のときに不安定感を感じる
1.ない(4点)
2.横にジャンプしたとき(2点)
3.その場でジャンプしたとき(1点)
4.ジャンプしたら常に感じる(0点)
Q7以下のときに不安定感を感じる
1.ない(4点)
2.不安定な地面でダッシュすると(3点)
3.不安定な地面でランニングすると(2点)
4。不安定な地面で歩くと(1点)
5.平坦な地面を歩いていて(0点)
Q8足首を捻った状態からすぐに止まることができるかどうか
1.素早く止まることが可能(3点)
2.だいたい止まることができる(2点)
3.たまにしか止まれない(1点)
4.止まることができない(0点)
5.捻ったことがない(3点)
Q9捻った後痛みなどはどれくらいで通常の状態に戻るか
1.すぐ戻る(3点)
2.その日のうちには戻る(2点)
3.1~2日かかる(1点)
4.2日以上かかる(0点)
5.捻ったことがない(3点)
上記の9つの質問の合計で25点以下の場合は足首の不安定性があります。
過去に捻挫を放置していた方や何度も捻挫をする方に足首の不安定性は見られます。足首の不安定性があると靭帯による制御ができなくなり関節にストレスがかかりやすくなります。
自宅でできるセルフケアで改善・予防を目指そう!
可動域と柔軟性、不安定性の評価でクリアできなかった方は足首に過剰な負担がかかる状態になっています。
そのまま放置していると痛みや炎症が起きます。また、膝関節や股関節にも影響がでてきます…
しかし、自宅でできる簡単なセルフケアをすることで改善・予防に繋がりますのでご安心を!
それでは、ご紹介していきます!!
タオルギャザー
目的:
①足趾(足の指)の柔軟性の確保・握る力をつける(地面をつかむ力をつける)
②足底(足の裏)の感覚入力(バランスの能力の向上)
方法:
タオルを足元に置き足趾(足の指)を使って自分の方向に手繰り寄せてきます。
※注意する点
・踵(かかと)は地面から浮かさないようにしましょう。
・手繰り寄せる際しっかりグー・パーを意識しましょう。
ヒールスライド
目的:
足首の可動域改善
方法:
①タオルを足元に置きその上に足をのせます。
②足底(あしのうら)をつけたまま踵(かかと)を自分の方向にスライドしてきます。
③引いてきたら次は前にスライドさせていきます。
※注意する点
・踵(かかと)は地面から浮かさないようにしましょう。
バランストレーニング
目的:
①足首の安定性の向上
②バランス能力の向上
方法:
①バランスディスクの中心に片方の足をのせます。
②座っているバージョン・・・しっかりバランスをとりながら前後左右に動かします。
立っているバージョン・・・グラグラしないようにバランスをとりましょう。初めは壁に手をついてやりましょう。
※バランスディスクがない場合は座布団やバスタオルを重ねたもので代用しましょう。
お家時間を使ってセルフケアで足関節後方インピンジメント症候群の改善・予防をして行こう!!
今回は足関節後方インピンジメント症候群について説明しました。
この症状はスポーツを熱心に行っている方に多く見られるもので、原因は筋肉の柔軟性の低下、足首の可動域の低下、足首の安定性の低下などが挙げられます。
しかし、普段からのストレッチやトレーニングを行って頂くことが症状の改善・予防に繋がります。
まさに現在このような症状でお悩みの方はお話ししたチェック方法やエクササイズを試して頂くと改善するかもしれないので是非チャレンジしてみてください!
痛みを我慢して放置していると手術をしないといけないほど重症にもつながる可能性があることを知っておいて頂けたら幸いです。
そして、痛みでスポーツを熱心に行えない方が全力でスポーツができるように我々も治療に取り組んで参ります。
ご不明な点やご質問があればLINE@やメールでお問い合わせ頂ければ、可能な限りお答えさせて頂きます。
どのようなお悩みでも構いませんので、遠慮なくご連絡ください。
本日は長文を最後までお読み頂きありがとうございます。