スネの内側の痛みを治す方法|フットサル経験者が解説

部活動に打ち込むみなさんへ。そのスネの内側の痛み、セルフケアで改善できるかも
。
今回は、学生時代サッカーに打ち込み、現在もフットサルを続けている私が、施術者としての医療目線で経験も交えながらお話しさせていただきます。
最近走るときにスネの内側が痛い
ジャンプの着地でスネの内側が痛い
スネの内側を押さえると痛い
このような症状で悩んでいる方はいませんか?
もしかしたら、『内側脛骨ストレス症候群(MTSS:Medial Tibial stress syndrome)』かもしれません。
今回は
①MTSSの症状改善エクササイズ
〜足指ほぐし・足指トレーニング・ストレッチ〜
②内側脛骨ストレス症候群(MTSS)とは?
〜症状・危険因子・疲労骨折との違い〜
③MTSSの対処法
〜運動前・運動後・病院には行くべき?〜
このような3つの項目に分けてご説明していきます!
今回ご紹介させていただくセルフケアに取り組むことで、
その痛み改善できるかもしれません!
目次
MTSSの予防・再発予防のためのセルフケア
いきなりですが、まずはMTSSで悩んでいる皆様に自宅でできるセルフケアをいくつかご紹介します!
これからご紹介するエクササイズは、人が「立つ・歩く・走る」などと体を動かす土台となる『足』を整えるためのものです。
土台を整えることで、体は変化していきます!
*ここで紹介する足指ほぐしは、西園美繭さんのセミナーに参加してから取り組んでいるものです。
より詳細に説明されているものはこちらからご覧ください
足指ほぐし

足の骨を正しい位置にし、正しい足指の働きを取り戻すためのメニューです
○方法
❶足の指を縦に開く(各指10秒ずつ)
❷足の指を横に開く(各指10秒ずつ)
❸足と手で恋人繋ぎをし足首を回す(時計回り・反時計回り30周ずつ)
足指トレーニング
足裏の筋肉を活性化させ、地面からの衝撃をできるだけ少なくするためのトレーニングです。
○方法
裸足になって両足で立ち、交互に足の指を曲げ伸ばしし、指の動きだけで前に進む
初めは進むことすら出来ない方もいると思いますが、1m×3回を目標に頑張りましょう!
前に進めるようになったら、後ろ向きに進む事にもチャレンジしてください!
MTSSに関与する筋肉のストレッチ

MTSSの原因となる筋肉は主にふくらはぎから足の裏についているので、
❶ふくらはぎを伸ばすストレッチ
❷足の裏を伸ばすストレッチ
を入念に行ってください!
また、テニスボールやゴルフボールを足の裏で踏んで転がすのもおすすめです。

*体は全て繋がっているので、ふくらはぎだけでなく、上半身やお尻まわり・太もものストレッチも行うようにしてください
内側脛骨ストレス症候群(MTSS:Medial Tibial stress syndrome)とは?
「内側脛骨ストレス症候群」と聞くと、何それ?と思う方も多いと思いますが、「シンスプリント」と聞くと耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
シンスプリントと呼ばれていたものは、
近年『内側脛骨ストレス症候群(MTSS)』
と呼ばれ(以下、MTSS)
陸上競技やサッカー、バスケットボール、バレーボールなど運動量が多い競技の選手に多く見られます。
簡単に言うと、骨膜・筋膜にストレスがかかり炎症が起こっている状態です。
まずはMTSSの病態(症状、原因、疲労骨折との区別)についてお話ししていきます!
*MTSSの定義:虚血性疾患や疲労骨折による痛みを除く、運動中に生じる脛骨後内側縁に沿った痛み
MTSSの主な症状
・運動中および運動後に脛骨(けいこつ)の内側に痛みを感じる
・痛みは主に脛骨の中下1/3である
・5〜10cmの幅広い圧痛がある

*これらが主な症状ですが進行度合いによって4段階に分けられます(Walshのステージ分類)
グレード1:運動後にだけ痛む
グレード2:パフォーマンス制限はないが運動中に痛む
グレード3:パフォーマンス低下を招く運動中の痛み
グレード4:安静時にも痛みが続く
※グレード3以上の症状であれば医療機関の受診をおすすめします。
(1ヶ月以上の休養を必要とすることが多いです。)
MTSSを引き起こす原因
・扁平足である
・疲労が溜まっている
・BMIが高い(体重kg÷(身長m)2)
・運動量が増えた
・新しい環境になった
このように、MTSSは1回の外力ではなく、小さな力が繰り返し加わることで痛みを引き起こします。
扁平足に対してはインソールを変えることをお勧めします。
ハードな練習が続いていたり、テスト期間での寝不足、疲労を感じている場合はまずは十分な休息や睡眠時間を確保することを心がけましょう。
MTSSと疲労骨折との違い
今までMTSSについてお話ししてきましたが、気をつけないといけないのはMTSSと同じような場所に痛みを感じる疲労骨折との鑑別(違いや種類により区別すること)です。
先ほど説明した症状に加えて
・痛みが局所的(小さな範囲に限られている※指でさせる程度)である
・歩行時、安静時も痛みがある
という症状がある場合は疲労骨折の可能性があります。
MTSSと違い、疲労骨折は骨自体に問題が起きているため、MTSSに比べて治療期間が長くなります。
MTSSであれば2ヶ月以内で競技復帰が可能なことが多いですが、疲労骨折の場合、手術が必要になったり、競技復帰までに半年以上の期間を要することもあります。
もしかしてMTSSかも?と思った場合の対処法!
今までの文章を読んで、MTSSが疑われる場合、どのように対応すべきなのかについて
⑴運動前(ウォーミングアップ)に意識すること
⑵運動後(クーリングダウン)意識すること
⑶病院には行くべきなのか?
に分けてご説明させていただきます。
運動前に意識すること

単刀直入に言うと
ウォーミングアップを入念に行うことが第一です!
ウォーミングアップを行うことで、
・筋肉の柔軟性が上がる(伸び縮みしやすくなる)
・力が入りやすくなる
・脳からの神経伝達がスムーズになる
というような様々な効果が期待でき、怪我の予防・パフォーマンスアップに繋がります。
私がお勧めするウォーミングアップは
「足指ほぐし(※)→ゆっくりなペースで5〜10分くらいジョギング(またはウォーキング)→ストレッチ・エクササイズ→競技特性にあったメニュー」
です。
ストレッチの前にジョギングをする理由は、その日のコンディションを確認し、その後のストレッチメニューを選択するためです。
日によって、疲労度や体の状態は異なるので、体と対話する時間を大切にしてください!
運動後に意識すること
クーリングダウン(※)が終わったら、痛みのある部位に10分〜15分アイシングを行いましょう!
(※)クーリングダウンの主な流れ
「5〜10分のジョギング(ウォーキング)→ストレッチ」
アイシングを行うことで、
・炎症を抑える
・筋緊張をやわらげる
・痛みを抑える
といった効果が期待できます。
また体の回復には、栄養補給・睡眠は欠かせないので、
「バランスの取れた食事をすること」
「水分補給を欠かさないこと」
「6時間以上の睡眠時間を確保すること」
も意識しましょう!
次の日にできるだけ疲労を残さないためにもクーリングダウンの時間を大切にしてください!
病院には行くべき?
「痛みはあるけど日常生活に支障はないし…。」
「いつか治るだろう…。」
このように、どのタイミングで医療機関を受診するべきかわからないことありませんか?
MTSSは放置したまま運動を続けていると、疲労骨折につながる可能性があるため、運動中に痛みを感じるようであれば早めに医療機関を受診することをお勧めします。
また、痛みを感じる足で
片足ジャンプを10回続けられない場合は、重症度が高いため必ず医療機関を受診するようにしてください。
痛みを我慢して運動を続けることで、結果的に競技復帰まで時間がかかってしまったり、他の部位の怪我につながることもありますので、勇気ある休養も大切です。
MTSSを改善して、楽しく競技に打ち込める体を手に入れましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回は、スネの内側の痛みの原因となる『内側脛骨ストレス症候群(MTSS)』についてご説明させていただきましたがいかがだったでしょうか?
スポーツに怪我はつきものですが、身体の使い方の改善、セルフケアに取り組むことで予防できるものもたくさんあります。
もし、スネの内側の痛みでお悩みでしたら、エコーによる検査、鍼灸治療、MTSSの早期回復に有効とされている、
「体外衝撃波治療器」
「超音波治療器」
も取り扱いしていますのでお気軽にご相談ください!
<参考文献>
・下肢のスポーツ疾患治療の化学的基礎:筋・腱・骨・骨膜
・MB Med Reha NO.182:54-60,2015 下腿のスポーツ障害ー病態・評価・治療ー
・第52回日本理学療法学術大会 ヒラメ筋の付着がMedial Tibial stress syndromeによる疼痛発生に関与するのか?ー超音波画像診断装置を用いた解剖学的検討ー