子供に多い股関節の痛みは?痛みの原因を詳しく解説 

お子さんがこのような訴えをされていませんか?

お母さん、サッカーでシュートを打とうとする時に股関節が痛い

コーチ、ダッシュをしたら股関節が痛いです

お父さん、階段を上る時に股関節が痛い

こんにちは。

現在までに鍼灸接骨院・整形外科クリニックにて股関節に関わる疾患、股関節インピンジメント症候群や変形性股関節症、人工股関節手術後のリハビリ等の様々な痛みでお困りの方の施術をさせて頂きました。

どの疾患も「その内、痛みは引くだろう」と放置して治療していなかった事が、後々、大変な事になったという印象が強いです。

痛みがある時に必ず専門医に相談し治療を受けて、将来に問題にならないようにしていきましょう。

股関節に痛みが出るのは身体の使い方が上手く使えず、腰や足首に問題があって股関節に影響を及ぼすケースがあります。

なので、痛みの治療は股関節であっても、根本的改善しなければいけない所は全く別の所にあるかもしれません。

そもそも股関節とはどうなっているの?構造から理解しよう!

股関節周囲の痛みを理解するうえで、股関節の構造を理解しておくことが非常に重要となります!


簡単に股関節の構造をひも解くと… 
股関節は「大腿骨」と言われる太ももの骨と「骨盤」で構成されます。大腿骨の上部はボール状になっていて、骨盤はそれを受けるように丸いくぼみが出来ています。


大腿骨が球状になっている事で股関節は
自由度が高く動く範囲が大きな関節の構造になっています。。

そこに筋肉軟部組織と言われる「靭帯・関節包(かんせつほう)・関節唇(かんせつしん)」と呼ばれる物が正しく働く事で股関節は初めて自由に動かす事が出来るのです!


ただし、これらの構造を理解せずに動かしていると症状が悪化を辿ることも…
 
しっかりと痛みを改善させていくために、ここでは痛みの原因を知るための股関節の構造や筋肉について解説していきます!

殿筋群について

これから殿筋群についてお話をします。殿筋群にはどんな筋肉があるかご存じですか?

殿筋という言葉なら大殿筋を聞いた事があります

大殿筋は殿筋群の一つです。


殿筋群は大きく分けて小殿筋(しょうでんきん)・中殿筋(ちゅうでんきん)・大殿筋(だいでんきん)があります。

「小殿筋」はその名の通り殿筋群の中で一番小さくて、一番深い所にある筋肉なので表面から触ることは出来ません。


骨盤から足の大腿骨についている筋肉です。

「中殿筋」は小殿筋よりも浅い所にある筋肉で、外側だけ表面から触れることが出来ます。小殿筋を覆うように骨盤から大腿骨についている筋肉です。

「大殿筋」は一番大きな筋肉で、お尻に手をつけたら大体、大殿筋を触っているといっても過言ではありません。中殿筋を覆うように骨盤から靭帯に付着しています。


各々役割は異なり、それぞれの柔軟性が落ちたり筋力が失われたりすると股関節に多大な影響を及ぼします。

特に大殿筋は座っていても、立っていても日常生活で常に力が必要とされる筋肉と言われているので、ここの筋力不足はとても大きな問題になります。

殿筋群の機能

どの筋肉も動く為の『動作性』を求められたり、止まる為の『安定性』を求められたりします。その中でも下半身の筋肉は上半身の体重と重力を支えなければいけない為、、負担がかかる事が多くなるのです。

動作性?安定性?って具体的にはどういう事ですか?

例えば、歩いたり走ったりする時は筋肉が伸びたり縮んだりして力を発揮している為、この時を『動作性』と言います。


逆に止まっている時や椅子に座っている時は筋肉の長さは変わらずに力を発揮している為、この時を『安定性』と言います。


同じ筋肉でもその時の状況に応じて、働き方が異なるのです。大まかにこのようなイメージで大丈夫です。


そこで今回のテーマである股関節では初めに紹介したように、他の関節に比べ自由度が高い関節となっています。

自由度が高いという事は足を大きく振りかぶって大きな力が発揮する事が出来る為、その分、動作性や安定性がとても重要になってきます。

関節唇の解剖

股関節には筋肉以外にも重要な軟部組織の1つで「関節唇(かんせつしん)」と呼ばれる物があります。


関節唇は肩関節・股関節といった動きが大きい関節だけにあるもので、関節部分で骨を少しだけ覆うように存在しています。


役割は、骨を覆い安定性をもたせる働きと、クッションの役割があります。関節唇が損傷すれば、どの役割にも影響が出て、怪我のリスクになります

その関節唇と呼ばれるものは治るのでしょうか?

関節唇が自然に治ることはありません。ただ何もせずに関節唇の痛みが消えることもあり、中には損傷していても始めから痛みを感じない方もいます。

ですが、ひどく損傷した場合は手術で治療をする事になりますので、若いうちに上手い身体の使い方を習得して、傷付ける回数を少なくしておいた方が良いでしょう。

股関節に痛みがでる原因を探ろう!

初めの股関節の構造でご説明したように、股関節は様々な組織が正しく働く事で自由に動かすことが出来ます。

股関節の後ろの組織(殿筋群や関節包)の柔軟性が失われる事で関節の中で骨が正しい位置関係で動きが行われず、

結果的に股関節の前側で骨同士がぶつかり合い痛みを引き起こすケースや他にも、ぶつからずに他の組織を挟んで痛みが出るケースなど様々です。


ここでは何故3人の子供に今回のような痛みが出てきたのかの原因や特徴を探っていきたいと思います。

なぜ柔軟性が失われたのか?

子供は15歳ぐらいになるまでは筋力は未熟で、身体の使い方をまだ覚えきれていません。

その為、
「強いシュートを打ちたい」「速く走たい」と頑張った時に無茶をしてしまいます。


ここでの無茶とは、本来の正しい身体の使い方ではなく、代償動作という間違った身体の使い方を指します。

無茶すれば筋肉に強い緊張が起こり運動中だけでなく日常生活も緊張が取れなくなってきます。

緊張=柔軟性低下となり、日に日に緊張が増した結果最後には骨と骨があたったり、軟部組織を挟み込んで痛みを出してしまいます。

私の経験上、競技レベルが高いチームでプレーされている選手や、練習量が多くて休息とのバランスがとれていない選手、普段から身体の使い方が上手くない選手に多い印象です

確かに家ではストレッチなどケアをしていません。

それではいけません。競技レベルが高い選手は個人練習量やチーム練習量が多い為、ケアをしないと負担がどんどん積もり怪我のリスクが上がってしまいます。練習量と身体のケアのバランスはご自身、もしくは保護者が管理してあげましょう。

痛みのでる人の特徴 

普段からお腹が前に出ていて、背中が丸まっている「スウェイバック姿勢」という方に多く見受けられます。画像で表すと一番右の方の姿勢です

初めて聞く名前です。その姿勢は猫背のように悪い姿勢なのでしょうか?

いいえ、決して猫背もスウェイバック姿勢も悪い訳ではありません。ただその姿勢から、別の姿勢に変われない事が問題なのです。


立った状態でお腹が前に出ているという事は、骨盤が前に倒れています。


この状態を「骨盤の前傾」言います。ここから膝を曲げて最後までしゃがみこんだ時に、骨盤が後ろに倒れていきます。

この状態を「骨盤の後傾」と言います。


本来、この2つの動きは誰しもが出来るのですが、生活する上での姿勢や運動時の身体の使い方で片方の動きに偏りが生じてきます。

その偏りの「後傾」が強くなったものがスウェイバック姿勢で、その姿勢から抜け出せなくなってしまうのです。

スウェイバック姿勢になると

先ほど説明したスウェイバック姿勢の状態が続いてしまうと、太ももの前側の筋肉が過度に伸ばされてしまったり、大腿骨が関節唇にぶつかったりしてしまいます。

そして股関節で炎症が起きたり、歳を重ねていけば骨棘という変形性の痛みがでてくる可能性があります。

若年層では比較的身体が出来上がっていないのでスウェイバック姿勢が完成している事は少ないですが、多くは身体の使い方が分からずその姿勢で無理な動きをして痛みを起こしている印象を受けます。

スウェイバック姿勢というのは骨盤の歪みとかではないのですか?

骨盤の歪みが原因の方もいらっしゃいます。ただその歪みも生まれ持った歪みなのか、その姿勢だから歪んでしまったのか、はっきりと答えを出すのは難しいです。

セルフエクササイズをやっていきましょう!

ここから骨盤のセルフケアをご紹介させていただきます。


後傾した骨盤を前傾に出来るようにする事と、前傾にする感覚を身体で覚えて頂きます。感覚と動きを覚えるセルフケアなので、筋力トレーニングではありません。


それと、このセルフケアは立ったままするものなので、日常生活や運動をしている時、動いている時に瞬時に上手く使えるようにトレーニングをする必要があります。

それは道具が必要だったり、子供一人で出来るものなのでしょうか?


道具は必要ないですし、子供一人でも簡単に出来るエクササイズになります。

ただ初めの内はやり方が間違っていないかを確認してあげて下さい。

間違ったやり方を覚えると癖がついてしまったり、やっているだけで改善しないなんて事になるかもしれません。

①スクワットで動きを覚える

スクワットの姿勢になって下さい 手は骨盤の前に上前腸骨棘という出っ張った骨があるので、その下に人差し指と中指を当ててください。

その状態が作れたら、そのままスクワットをしていきます。スクワットをしていく時に、前傾を作れる人は徐々に指が挟まれていきます。

後傾に慣れ身体の使い方が上手くない人は指を挟むことが出来ません。

なので、骨盤を後傾から前傾にして指を挟む感覚を覚えてください。

②立ったままで自由に使える

スクワットでは股関節や膝関節を曲げていきながら骨盤の前傾を覚えていきましたので、次は立ったままで骨盤を前傾・後傾を繰り返します。スクワットのように指を挟む指標がないので、前傾の感覚が難しいかもしれません。


それと前傾と後傾をする時は骨盤だけ動かしてください。


ここで使い方が上手くない方は上半身を動かす事で、嘘の骨盤前傾を作り出してしまいます。


出来るかぎり骨盤だけを動かしてください。立ったままが難しい方は仰向けで足を伸ばした状態で寝て行っても構いません。

寝た方がバランス感覚に神経が働く必要性がないので、骨盤の動きに集中出来ます。


それ以外に前傾をする時にどうしても上半身を使ってしまう方は、上半身の柔軟性に問題があるかもしれないので、専門の方に診てもらってください

子供に「放置していい痛み」はありません!!


若年層におこる股関節の痛みにおいて、安静にしていれば治るケースは多々ありますが、それは専門医が診ている、診ていないでは大きな違いがあります。


専門医に診てもらわない多くの理由としては、『練習を止められるかもしれない、大会前だから病院は後回し』と言った声をよく耳にします。

私もずっとスポーツをしていたのでしたい気持ちはとても分かります。

ですが、後に引き延ばした分、負担をかけた分、治すにはそれ以上に治療期間がかかると思っておいて下さい。


子供は自身でストップをかけづらい為、大人の指導や管理が大変重要になってきます。

子供は治るのが速い上に感覚取り戻すのも速いので、後回しにせずに専門医でしっかり診察・治療を受けるように心がけましょう。

また当院は、捻挫・骨折・脱臼以外にも今回のようなケースにも対応出来ますので、お気軽にご相談下さい。

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