膝の外側のズキズキした痛み|ランナー膝の原因と改善方法を解説

こんにちは。joyplus.の溝端正和です。
今回は、ランニング中やランニング後に膝の外側にズキズキした痛みを感じることはありませんか?ランニングやサイクリングや登山などをされている方にその原因になりうる「ランナー膝」についてお伝えしたいと思います。
また、ランナー膝改善のためのエクササイズやストレッチ方法も併せてお伝えしていきたいと思います。
今回の記事を読んでいただき、ひざ痛の改善や効率の良い歩行の仕方を手に入れるお手伝いが出来れば幸いです。

ランナー膝(腸脛靭帯炎)とは

長時間のランニングや山登りなどで同じ動作を繰り返すと膝周囲にある靭帯や腱を過剰に使用することになり、炎症を起こし痛みの症状に繋がります。その中でも膝の痛みの代表格といえるのがランナー膝(腸脛靭帯炎)です。ランナーに多くみられ、足を酷使した時に膝関節の外側にズキズキした痛みを感じるのが特徴です。特にランニングにおいては、下り坂の着地時に体重の5倍ほどの負荷がかかり、痛みが増します。
 初期の段階では、ランニング中に痛みが出るものの、しばらく休むと治まる程度ですが、次第に運動後も痛みを感じるようになり、悪化すると慢性化して日常生活にも支障をきたすので注意が必要です。ランナー以外にも、サイクリングや登山、バスケットボールなどでも発生します。ランニングを始めたばかりの人や筋力が弱い人、柔軟性がない人、内反膝(O脚)で体重が外側にかかりやすい人がなりやすいといわれています。

腸脛靭帯炎が生じるメカニズムとは

腸脛靭帯は大殿筋(お尻の筋肉)と大腿筋膜張筋(だいたいきんまくちょうきん)から始まり、大腿骨の外側を通って、脛骨(けいこつ)のGerdy結節(脛の骨の外側)に繋がっています。
腸脛靭帯は膝を伸ばしている時は外側上顆(大腿骨の外側の出っ張り)の前にあるのですが、膝を曲げてゆくと、おおよそ30度屈曲したところで、外側上顆を乗り越え後方に移動します。このときに腸脛靭帯は大腿骨の外側の出っ張り部分にこすれます。
長距離のランニングでは腸脛靭帯が何度もこすれることによって炎症を引き起こし、膝の外側に痛みが生じます。
ランナー膝が起こる原因として、オーバーユース(使いすぎ)のほか、柔軟性の低下や筋力の低下、ウォームアップ不足などが考えられます。また、硬い地面や下り坂の走行、硬いシューズとの関連性も指摘されています。

ランナー膝の原因とは

ここからはランナー膝になる原因を3つに分けてお伝えしていきたいと思います。

過度なランニング

腸脛靭帯炎は特に長距離ランナーに多く見られるスポーツ障害で、練習量の増加や練習環境が変わる時期などに発症します。
例えば、長距離ランナーが練習量を増やしたときや、初心者がマラソンの練習を始めたとき、マラソン大会への参加頻度が増えたときなど、膝に対する負荷が増えた時期に発症します。
きちんと休息をとれば重症化することは少ないですが、十分に休息を取らずに運動を継続した場合、回復が間に合わずに炎症の起きている箇所にどんどんダメージが蓄積してしまい、より強い痛みへと変わっていきます。

内反膝(O脚)

腸脛靭帯炎の発症要因の一つに内反膝(一般的な名称はO脚)が挙げられます。内反膝の人は、太ももからすねにかけて内側に曲がっているため、膝の外側を走行している腸脛靭帯が大腿骨外側の出っ張りに擦れやすくなります。そのため、内反膝の人は腸脛靭帯炎を起こしやすいと言われています。

体が硬い・急に運動を始めた

もともと体が硬い人の場合、腸脛靭帯も硬く伸びにくいことが多いです。腸脛靭帯の柔軟性が不足していると、大腿骨の突起を腸脛靭帯が余裕をもってすり抜けることができなくなり、膝を曲げたり伸ばしたりする際の摩擦抵抗を強めてしまいます。これにより、腸脛靭帯炎を引き起こすこともあるため注意が必要です。
また、健康のためにと思い立ち、これまで運動していなかった人が急に運動を始めるような場合にも腸脛靭帯炎は起きやすいです。このような場合、これまで運動していなかったために股関節外転筋力(脚を外側へ引っ張り支える力)が弱く、腸脛靭帯の柔軟性も低いため、腸脛靭帯炎を引き起こし易いのです。

ランナー膝の症状

最初はランニング中・ランニング後に膝の外側に違和感・痛みが出ますが、休むとなくなります。しかし違和感・痛みを我慢してランニングを続けていると痛みは徐々に強くなってしまい、簡単に治らなくなってしまいます。特に下記の時に違和感・痛みを感じることが多いです。

着地時の痛み

着地時は通常の5倍の体重がかかるといわれています。ランナー膝では体重がかかる時に痛みを感じます。これは体重を支える時に大腿筋膜張筋の緊張も強くなりストレスがかかるためです。

下り坂での痛み

上りより下りで痛みを強く感じます。これは下り坂では膝の角度が軽く曲がった角度になり、ストレスが最もかかるためです。

ランナー膝になりやすいランニングフォームの特徴

ランナー膝(腸脛靭帯炎)が起こる要因としてランニングフォームがあります。そのためランニングフォームを評価して、ランニングフォームを改善が必要です。腸脛靭帯炎を起こしやすいランニングフォームと改善方法を紹介していきます。

膝が内側に捻じれるランニングフォーム

ランニングの接地時に膝が内側に向いたフォームになると大腿筋膜張筋緊張して腸脛靭帯炎を起こしやすいです。またこのようなランニングフォームは腸脛靭帯炎をだけでなく、様々なランナー 障害の原因となります。このようなランニングフォームの原因には足首の固さ、股関節の筋力の弱さなどがあります。筋力の強化をして接地時に膝が内側に向きすぎないよう動作の改善を行います。

体幹が横に傾くランニングフォーム

接地時に体が横方向に傾く主な原因は体幹の機能低下や中殿筋(ちゅうでんきん)という骨盤の側面に位置する筋の機能低下です。中殿筋の機能が低下していると、ランニング時に大腿筋膜張筋が緊張して腸脛靭帯にかかる負担が増加します。中殿筋のトレーニングや体幹のトレーニングを実施した後に、それらの筋で身体を真っ直ぐに保つトレーニングを行います。

ランナー膝の対処法

ここからは、ランナー膝の対処・治療法をご説明していきます。

初期の対応

腸脛靭帯炎の治療の基本は局所の安静と運動療法です。
痛みが出た際の初期の治療は、まず運動を中止し、局所のアイシング(冷却)を行います。症状が強い場合には、炎症のある部位にハイボルテージ療法やマイクロカレント療法、整形外科的治療ならば、局所麻酔薬やステロイドなどを局所注射します。痛みが改善してきたら、運動療法を行い、運動を再開し少しずつ走る距離を増やしてゆきます。
内反膝や回内足を認める場合には、腸脛靭帯への負荷軽減目的に、足底板の作成やテーピングを行います。

運動療法

腸脛靭帯炎はストレッチなどの運動療法が効果的で、必ず行う治療法です。ストレッチを行うことで腸脛靭帯の柔軟性を高めて大腿骨突起部に擦れる時の摩擦抵抗を低下させ、炎症を改善・防ぐ効果が見込めます。
また、腸脛靭帯の柔軟性を獲得することは再発の防止にも繋がります。

その他の治療方法

初期治療に効果がない場合には、組織再生目的の対外衝撃波治療(extracorporeal shock wave therapy: ESWT)や多血小板血漿(platelet rich plasma:PRP)などの自己血液を利用するバイオセラピーが近年注目されています。
ESWTは装置で発生させた衝撃波を病変部位に集中させることで、痛みを感じる神経を壊し、早期の除痛効果を獲得できます。
PRPなどの自己血液を利用するバイオセラピーは、患者自身の血液を遠心分離して作成した血小板や成長因子が多く含まれた液体を患部に注入する治療法で、組織修復が期待できます。いずれの治療も腱障害、靭帯障害に対する低侵襲な治療法として期待されています。

手術療法

腸脛靭帯炎の80%は、ここまで解説してきた治療法によって改善することができると言われています。しかし、一旦症状が改善してもスポーツに復帰すると痛みが再発してしまうなどの難治症例に対しては、手術を行います。手術の方法は、腸脛靭帯の部分切除や延長術、引っかかる部分の骨や軟部組織切除などがあり、有効な治療法です。

自分でできる改善方法

腸脛靭帯を引っ張っているのはお尻の筋肉です。大殿筋と大腿筋膜張筋が連結して繋がっています。そしてこの筋肉が硬くなると過度にひっぱられ、腸脛靭帯と骨が摩擦を起こして痛みが出ます。他にも大切な筋肉があります。それは中殿筋と小殿筋です。脚を横に広げ、片脚で立つのに必要な中殿筋。それをサポートする小殿筋。お尻の筋肉はランニングの際に脚がぶれないようにするためにも大切です。「走りたいけど走れない」そんな歯がゆい思いをしている方も多いでしょう。まずはお尻のエクササイズで筋力を高めて、殿筋の柔軟性を回復させましょう。

大殿筋ストレッチ①

大殿筋は大腿筋膜張筋と相まって腸脛靭帯を形成します。また大殿筋は骨盤を後ろから支え、体幹の伸展、股関節の伸展時に働く大きな筋肉です。ランナー膝の疼痛緩和に必須の筋肉になりストレッチは欠かせません。
では実際にストレッチ方法です。

① 椅子の上に座る ※両膝は肩幅程度に開いておく 
② 左脚のふくらはぎを右脚の太ももにのせる
③ 左手を左脚の膝に乗せて、ゆっくりと上半身を前に傾けていく
④ ゆっくりと前に体重をかけて刺激を感じたところで止めて、約30〜40秒キープする
⑤ キープ終了後、ゆっくりと元の位置に戻していく
⑥ 反対の脚も同じように取り組む
⑦ 左右30~40秒キープ×2回ずつ

大殿筋のストレッチ②

① 膝立ちの状態になる。 
② 右脚を大きく前に出して、左側に入れる形を作る ※両手は地面について、バランスを保ちましょう
③ 左脚は真っ直ぐ伸ばし、太ももで地面につけるようにして、体重を前にかけていく
④ お尻あたりの筋肉が伸びていることを感じたら、約30〜40秒キープする
⑤ キープ終了後、ゆっくりと元の位置に戻していく
⑥ 反対の脚も同じように取り組む
⑦ 左右30〜40秒キープ×2回

中殿筋エクササイズ

中殿筋は骨盤を安定させ、股関節を動かす動作に大きく関係します。
ランニングで踏み込んだ時やテニスなどの横へ動く動作の時に骨盤を安定させて、身体がブレないようにしっかり動かせるようにしてくれます。
体幹や骨盤周りが安定してブレがなくなると、短時間でも効率よく運動が出来るので効果も得られやすくなるでしょう。

① 横向きで寝て、鍛えたい側を上にします。
② 少し体を前に倒して、上の足を伸ばして上に上げていきます。
③ この時にしっかりお尻に力が入っている事を意識する。
④ 余裕があれば上にあげたところで2秒キープして、よりお尻に負荷をかけて行う。
⑤ 左右10回×3セット。
※少し体を前に傾ける事で、より中殿筋に効きやすいようにして行いましょう。

大殿筋エクササイズ

大殿筋は、立つ・座わる・歩く・階段昇降など日常生活動作のほか、走る・ジャンプといった動作時にも働く、とても重要な筋肉です。主な動きとしては、股関節を伸ばすという点で、歩く時に足を後ろに蹴る動作にあたります。大殿筋が弱くなると足を後ろに蹴ることが難しくなることで歩行時にバランスをとることが上手く出来ずに、歩幅が狭い小刻み歩行に繋がります。

① 仰向けになって腰の幅ほどに足を開いておきます。 
② お尻を締めるように力を入れてお腹をへこませておきましょう。
③ 肩―骨盤―膝が一直線になるようにお尻を持ち上げます。
④ 余裕があれば上にあげたところで2秒キープして、よりお尻に負荷をかけて行う。
⑤ 20回×3セット

もしランニングや運動後に膝の外側に痛みが出たら・・・

腸脛靭帯炎はランニング上級者から初心者まで多くの方に起こりえるものです。ランニング中やランニング後に膝の外側にズキズキとした痛みや違和感などの症状が出たら、まず安静を保って、アイシングで患部の炎症を抑えましょう。運動を再開するときは、しっかりとウォーミングアップし、筋肉を柔軟にしてから行いましょう。膝に負担をかける下り坂のランニングは避けて、芝生や土などの柔らかい地面やフラットなコースを選んで走るのもひとつの手です。
これらの疾患は膝の使いすぎなどによって生じます。いったん痛みが治まったとしても、原因がなくならなければ、症状を繰り返してしまいます。ストレッチや筋トレをとりいれて、柔軟性の向上や筋力アップを図りましょう。

参考資料:https://smartlog.jp/176413#S37322310                                https://www.dk-sc.com/sports/runners-knee.html            
kawakamiclinic.or.jp/seikei/eswt/ https://www.dk-sc.com/service2/service2_06.html
yamate.jcho.go.jp/腸脛靭帯炎(ランナー膝)/

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