肩こりと手の痺れ｜始まる前兆は？
こんにちは。
joyplus.枚方鍼灸整骨院です。
皆様、腕のだるさや手先の痺れを経験したことはありませんか？
〈例えば〉
☑洗濯物を干す時
☑バスや電車でつり革につかまっている時
☑リュックを背負っている時
☑ボールを投げる時
☑パソコンを操作している時
こういった動作中に腕のだるさや手先の痺れが現れる場合「胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)」の可能性があります。
人の体は血管や神経が隅々まで張り巡らされています。
ある程度決まった通路を通りますが、その通路が狭くなり圧迫を受ける事で、「だるさ・痺れ・痛み」の症状が現れます。
胸郭出口症候群はなで肩の女性や姿勢不良により引き起こされます。逆に言うと、姿勢を正し筋肉を正しく使えれば改善できる症状です。
この記事では、原因・治療法・予防法について詳しく解説していきます。
胸郭出口症候群とは？
首から腕に向かって走行している腕神経叢(わんしんけいそう)と、隣り合わせで走行する血管が胸郭出口と呼ばれる部分を通過します。
胸郭出口はいくつかの物理的に狭い空間が存在し、この空間を通る血管や神経が圧迫を受けることで肩から手先にかけてのだるさや痺れが現れるようになります。
圧迫を受ける部位よって3つのタイプに分類されその総称を「胸郭出口症候群」と呼びます。
腕神経叢とは
人間の体は脳の命令を電気の流れのように神経を通じて様々な筋肉に伝えることで身体を動かすことができます。
また、皮膚の感覚などは運動とは逆の通路を介して脳に伝えます。
複数ある神経の中で、頚椎から胸椎にかけて5本の神経が叢(くさむら)のように複雑に交叉している部分を腕神経叢と呼びます。
胸郭出口症候群の3つのタイプ
- 斜角筋症候群(しゃかくきんしょうこうぐん)
斜角筋とは肋骨から頚椎にかけて付着する筋肉で、主に首を動かす時に働く筋肉です。前斜角筋と中斜角筋との間(斜角筋隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
男性に多く見られる、肩を上に引き上げた(いかり肩)状態は斜角筋が緊張してしまうため、隙間が狭くなり神経・血管が圧迫され感覚異常を引き起こします。
・肋鎖症候群(ろくさしょうこうぐん)
肋骨と鎖骨との間(肋鎖間隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
斜角筋症候群の時とは逆に、女性に多くみられるなで肩の姿勢により、鎖骨が下がり肋骨との隙間が狭くなることで、感覚異常を引き起こします。
また、この肋鎖症候群は「頸肋(けいろく)」と呼ばれる原因の一つが存在し、胎児期に頚椎から出ている肋骨の遺残したものの一部が通常ではない場所に「頸肋」という骨が出来ることにより誘発される事があります。
・小胸筋症候群(別名:過外転症候群)
小胸筋と烏口鎖骨靭帯で作られた間(小胸筋下間隙)の通り道が狭くなることにより起こります。
高いところにあるものを取ろうとする時など、腕を上げる動きにより神経の通り道の角度が変わり、小胸筋と肋骨の隙間で圧迫されやすくなります。
胸郭出口症候群の症状について
胸郭出口症候群を発症するとどのような症状が現れるのか、簡単に解説していきます。皆様も心当たりがないか確認してみてください。
〈症状〉
☑肩〜腕、肘〜手先にかけて、「コリ・だるさ・冷感・うずくような痛み・しびれ感」
☑手の握力が落ちている
☑手のひらの小指側の盛り上がり「小指球筋」の萎縮(いしゅく)、また手の萎縮により手の甲の間がへこむ
☑細かい動作などが難しくなる(ボタンの着脱、ペットボトルの開け閉めなど)
☑腕の皮膚が白っぽい（症状が進行すると青紫色になる）
などが挙げられます。
初期の症状では、肩こりやなんとなく腕や手が動かしにくい、だるく感じるなどが出現します。
そのまま進行していくと、腕を上げた時など特定の姿勢や動作で痺れや痛みが現れます。
血管が圧迫されると血行が悪くなり手指や腕の色が蒼白したり、青紫色に変化するといった目で見ても分かる症状が出現します。
「胸郭出口症候群」になりやすい人の特徴①
胸郭出口症候群に陥りやすい方には特徴があります。皆様もご自身の体をチェックしてみてください。
〈特徴〉
☑首が長く、なで肩の人(女性に多い)
☑いかり肩（男性に多い）
☑重いものを運ぶ事が多々ある人
☑過度の筋力トレーニング、筋肉質な人
☑手を高く上げるスポーツ(バドミントン・バレー・野球など)
☑長時間の事務仕事、デスクワーク
☑姿勢が悪い人(猫背、巻き肩など)
などが挙げられ、神経や血管の通路が圧迫されやすい体型や姿勢、生活習慣があるかたは誘発されやすくなります。
「胸郭出口症候群」になりやすい人の特徴②
頚椎は前カーブ（前弯）、胸椎は後ろカーブ（後弯）、腰の腰椎は前カーブ（前弯）と緩やかにS字曲線を描いています。
しかし、現代人の大部分は胸椎の後弯がきつく猫背の姿勢になっている人が多い。
その状態は必然的に首や肩の位置が自分の身体よりも前に出てきてしまいます。
そうすると首を支える筋肉に大きな負荷がかかり（特に斜角筋や大胸筋）、背中の筋肉は引き伸ばされて胸の筋肉は縮んでしまい胸郭出口で圧迫が引き起こされやすくなります。
また、首が長くなで肩の方はもともと神経や筋肉が引き伸ばされている状態であるため、胸郭出口症候群の発症割合が多い傾向にあり、
女性であれば男性に比べて筋肉が発達しにくいため、腕の重みで神経が胸郭出口で引っ張られやすくなります。
男性では、筋肉質で肩をよく動かす習慣がある人は、度重なる負荷から筋肉の柔軟性が低下し胸郭出口症候群を引き起こします。
胸郭出口症候群の予防法・改善方法
胸郭出口症候群は現れた症状に対して、適切な処置を受けることや症状発現時に無理をせず安静にしていると症状が緩和され、改善が期待できます。
ですが、姿勢不良や生活像を改め意識しないと、また誘発する可能性があるため、改善させるためのエクササイズやストレッチについて解説を加えながらお伝えします
まずは胸郭出口症候群の簡単セルフチェック！
特徴と症状に少しでも当てはまる人は代表的なチェックテストをご紹介しますので是非やっていきましょう！
※強い痛みやしびれが生じる場合は無理をせず、速やかに中断するようにしてください。
- Roos test(ルース テスト)
両手を挙げて胸を大きく張る姿勢を取りながら、1秒毎に手をグーとパーに繰り返し、1分〜2分間動かしていきましょう。
時間内で手のダルさやしびれなどが増強する→手が挙げていられない状況になる→腕を降ろせば症状が楽になる、といった場合は胸郭出口症候群を疑います。
②Adson test(アドソン テスト)
手のひらを前に向け腕を下ろしリラックスさせた状態で顔は斜め後ろ(痛みがある方)を見るようにしながら首を後ろに倒していきます。
この時斜め後ろを向くとき、一緒に体が後ろに捻らないように注意しましょう。
手先の冷え感やしびれが生じる場合は胸郭出口症候群を疑います。
※あくまで簡易的なセルフチェック方法なので、胸郭出口症候群を確定させるものではありません。
姿勢改善方法①
【キャット＆ドッグ】
1．肩の真下に両手、骨盤の真下に膝がくるように四つん這いになる
2．目線をおへそに向けながら背中を天井に突き上げるイメージで丸めながら伸ばしていきます。
3．目線を上げ、肩甲骨を寄せることを意識して、背中を反らせてお腹を伸ばしていきます。
この動作をゆっくりとした自然な呼吸で繰り返し行います。
キャット＆ドッグは知らず知らずのうちに背中が丸みを帯びた猫背姿勢を改善しつつ、肩甲骨、胸椎、骨盤の一連の動きを良くし柔軟性を上がることで筋肉活動が向上し、良質な姿勢を保ちやすくなります。
【菱形筋のエクササイズ】
1．姿勢を正して、ヒジを前に伸ばし軽いボールなどを使い肩幅くらいの隙間を両手の間に作る
2．ボールを保持し、ヒジの関節は伸ばしたまま肩甲骨を内側に寄せていく
この動作をゆっくりとした自然な呼吸で繰り返し行います。
菱形筋とは、背骨の胸椎から肩甲骨の内側に向かって付着しており、肩甲骨を内側に寄せる働きがあります。
猫背姿勢は背中にずっとストレッチがかかっている状態になるので、このように筋肉を縮ませるエクササイズをする事で、菱形筋を刺激して巻き肩になるのを防ぎます。
姿勢改善方法②
【シュラッグ(僧帽筋上部繊維のエクササイズ) 】
1．軽く手を握り、脚は腰の幅に合わせ、胸を張る
2．両肩をすくめように高く上げ、ゆっくりおろす
慣れてきた場合、500mlの液体が入ったペットボトルなどの軽い重りを加えて行うとより効果的になります。
【肩甲挙筋のストレッチ】
軽くリラックスした状態で椅子に腰掛け、伸ばしたい方の肩に手を置き、置いた手と反対方向に顔を向けながら首を横に倒していきます。
首を倒していく時に、置いた手で肩が上がっていくのを押さえながら、その状態で5回程度深呼吸していきましょう。
なで肩は僧帽筋の筋力低下と肩甲挙筋という筋肉が硬直していることが原因の1つなので、自身に合った程よい回数をこなしましょう！
また、肩甲挙筋のストレッチは「いかり肩」の方にもおすすめのストレッチになりますので、是非、試してみてください！
胸郭出口症候群は日常生活を改めることが重要
今回は、胸郭出口症候群について説明してきました。
この症状は、普段の姿勢や生活が大きく関係してきますので、改めて自分の事を見直すキッカケになったのではないでしょうか？
疲労を感じた際は、無理をせず十分な休息を取りましょう。
入浴により身体を温めることで血流を良くし、疲労回復を促すこと。
荷物を持つ時などはリュックを使用して一方にかかる肩への負担を減らし、片方の手で持つ場合も適度に左右交代で持ちましょう。
普段の姿勢に関しては、継続して正しい姿勢でいられる人の方が圧倒的に少ないので、ふと気がついた時に少しの間胸を張り、背筋を伸ばす。こういったことをこまめに意識すること。
ストレッチやエクササイズで体のコリを軽減させるよう日頃からケアしていき、より快適な生活になるよう心がけましょう。
