パソコン中に肘の外側が痛む? それってテニス肘かも!!
こんにちは。
joy plus.つかしん鍼灸整骨院の山内です。
本日は、在宅勤務の増加に伴い、普段の生活で肘の痛みを訴える方が多い「外側上顆炎」という疾患を取り上げたいと思います。
私自身、テニスのコートに立ったことはないものの、この肘の痛みを経験しました。皆さんも経験したことがあるのではないでしょうか?
以前から肘が痛く、痛みが消えない場合は、症状を和らげるために、姿勢の改善だけでなく、様々な方法を試してみることをお勧めします。
この記事では、外側上顆炎(テニスエルボー)の通常の症状について詳しく説明し、正しいケアをするための知識を身に付けていただきます。
テニス肘(テニスエルボー)とは?
正式名称は外側上顆炎(がいそくじょうかえん)という部分に炎症を起こし痛みが生じる疾患です。
※外側上顆は上腕骨(じょうわんこつ)の下の方にある骨の出っ張り部分をいいます。
ラケットで『ボールを打つ』動作を繰り返すためテニスプレイヤーに多い症状から、【テニス肘(テニスエルボー)】と呼ばれていることが多いです。
しかし、スポーツをしていない人でも、長時間のパソコン作業や家事などで肘の周りに痛みを感じることが多くなっています。
なぜ痛みが起こるのか?
スポーツや日常生活の中で、ボールを打つ、洗濯物を持ち上げるなど、手首を使う動作が習慣化すると、
手首の骨につながる筋肉に過度の緊張がかかり、関節に痛みを生じると考えられています。
超音波診断装置では、この筋肉と骨をつなぐ腱のわずかな断裂と、その損傷を修復するために体が作り出した微小な血管や筋肉の損傷を見ることができます。
痛みを我慢して使い続けることで、繰り返し筋肉が引っ張られて修復が追いつかず、骨の変形や正常組織とは異なる状態(変性)してしまうこともあります。
デスクワークで痛みが起こるのか?
テニスをすると上腕骨外側上顆炎になることが多く、デスクワークとは異なる動作のようですが、前腕伸筋にかかる負荷は同等です。
テニスの場合、インパクト時の衝撃に打ち勝つために背屈時に大きな力が必要なため、前腕伸筋が活動し、筋肉や付着部に痛みを生じます。
逆に、キーボード入力などデスクワークでは、効率を上げるために指の筋肉が必要となり、手首を背屈させなければなりません。
そのため前腕伸筋を長時間使い続けると、筋肉や骨の付着部に痛みが生じることがあります。
テニス肘のセルフチェック
外側上顆炎のセルフチェック
①中指伸展テスト (Middle Finger Extension Test)
肘を伸ばした状態で中指に抵抗を加え指を伸ばしてもいます。
②トムゼンテスト(Thomsen Test)
肘を伸ばした状態で手首に抵抗を加えて手首を反らしてもらいます。
③チェアテスト(Chair Test)
肘を伸ばした状態のまま椅子を持ち上げてもらいます。
④ フィンガーインピンジメントテスト(Finger Impingiment Test)
前腕を回内(手のひらをうちに向ける)肘を曲げた状態から肘を伸ばしてもらいます。
以上のセルフチェックで①〜③肘の外側に痛みが出現する場合は外側上顆炎の可能性があります。
④で痛みが出現した場合は滑膜ひだと言われる難治性の可能性があるため一度専門の病院で診察を受けてください。
外側上顆炎を治すためには
外側上顆炎は前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)の負担が原因で起こると説明してきましたが、
前腕に力が入ると言うことは普段より過剰に力が入りやすいということでもあり、リラックスできていない人に起こりやすいとも言われています。
ここでは、セルフストレッチと脱力(リラックス)するエクササイズをお伝えさせていただきます。
当院の治療で行っているエクササイズにもなりますので、是非お試しください!
脱力(リラックス)エクササイズ
ここでは、過緊張している状態を改善するエクササイズを紹介します。
・プログレッシブリラクゼーション
①力を入れる、脱力動作をすることを繰り返すことにより、脱力と力を入れる感覚を覚えましょう!
※普段から力が抜けない方への脱力の力を養うおすすめのエクササイズです。
このエクササイズが上手くできない方は、自分で脱力(リラックス)する事が苦手な方になります。
※普段から過剰に力が入りやすく肩こりや腰痛など様々な原因にもなります。
・呼吸
仰臥位(上向き)で腹式呼吸を行うます。
①ゆっくり鼻から吸い、ゆっくり口から吐いて行きます。
※このときに肺にある空気を吐ききるように意識していきましょう。
浅い呼吸を行う方は交感神経が優位になっている可能性があります。
息を吸う時は交感神経、息を吐くときは副交感神経が働くため、息がしっかり吐けない方は、リラックスできず緊張している可能性があります。
前腕(ぜんわん)のエクササイズ
外側上顆炎を治療していく上では筋肉の過緊張をなくすことが大切になります。
ここでは、セルフマッサージと可動域を手に入れるエクササイズを行なっていきます。
・肘の内側・外側セルフマッサージ
肘の内側の緊張している筋肉をゆっくりマッサージしていきます。
・可動域改善エクササイズ
反対の手でチューブを持ちながら手のひらをゆっくり上に向ける動作を繰り返しましょう。
このエクササイズを行うことで動きを獲得していきます。
外側上顆炎を治すための2つのポイントと予防方法
テニスをしていなくても、外側上顆炎になる方は多くみられます。
日常生活で2つの特徴に当てはまる方は外側上顆炎になりやすく、痛みが出ている方も症状を悪化・慢性化させる要因にもなるので、確認してみてください!
ここからの特徴に当てはまる方は、【要注意】です!
手首・前腕(ぜんわん)の動きが悪いかた
前腕(ぜんわん)のエクササイズでお伝えしたように筋肉の過緊張がストレスになり肘の外側に痛みが出やすくなります。
手のひらを上に向けたり、下に向けたりする動きが外側上顆炎の痛みと関係していると結果が出ています。
橈骨(とうこつ)と言われる骨が回内(かいない)回外(かいがい)と言われる動きをしているのですが、
この動きが制限されると前腕伸筋群(ぜんわんしんきんぐん)が頑張って働くことにより負担がかかりやすいと言われています。
〜セルフチェック〜
・肘を体幹につけたまま、手のひらを返してみてください。
このときに左右差がある場合は今後痛みが出現する可能性があります。
簡単にできるデスクワーク時の予防方法
キーボードやマウス動作をしてしまうと手首が背屈(手首が上がった状態)になってしまい結果的に痛みが出てしまうと前半でお伝えしました。
ここではデスクワークで痛みの軽減や予防にタオルを使った簡単な方法をお伝えさせていただきます。
①タオルを使った方法
タオルを丸め手首の下に入れることで簡単にストレスを軽減させることができます。
②リストレスト
リストレストはキーボードの手前に置き、その上に手首を置くようにして使うグッズ。これを使うと手は手首より下に来るようになるため予防につながります。
タオルと同様の効果になります。
セルフエクササイズで肘の外側の痛みを改善させましょう!
今回は外側上顆炎について説明してきました。
まずは外側上顆炎になる原因は「筋肉の緊張」「前腕(ぜんわん)や背中の動き」が関係していることを理解してください。
リラックスできる体づくりや前腕(ぜんわん)姿勢不良を改善することにより痛みの軽減や予防することが可能な症状です。
今回、ご紹介させていただいたエクササイズを一度試しいただけると幸いです。
長文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
【参考文献】
引用:外側上顆炎のガイドライン
引用:上腕骨外側上顆炎2800肘の疫学的研究およびその本態に関する考察
加藤 悌二, 安岡 寛理, 入江 弘基
引用:上腕骨外側上顆炎に対する肩甲帯・体幹からの評価とアプローチ
山田 裕司