「お母さん!かかとが痛いよ~」(セーバー病・シーバー病)

こんにちは。
joyplus.鍼灸整骨院の宮原です。

子供のケガをテーマに前回まで2回は、扁平足についてお話させていただきました。
「扁平足」はケガではなく、ケガにつながってしまいやすい足の形を言い、出来るだけ扁平足になってしまわないよう予防法や改善法をご紹介しました。

今回は実際に子供が「足が痛い!」と訴える疾患を紹介し、その治療法、予防、改善法を紹介していきます!

子供が足が痛いと言ったら・・・

成長期のお子さんが「足が痛い」と言うと、多くの方は「成長痛かしら?」と考えるのではないでしょうか?
「病院で診てもらったら成長痛と診断された・・・」という方もいらっしゃると思います。

では「成長痛」ってなんでしょう?

成長痛ってよく聞くけど、どんな病気なの?

子供が足をひねったとか、くじいた、ぶつけたなどの誘因もなく急に痛みを訴えることがあります。
時には泣くほど痛がったりすることもあります。親御さんもびっくりして「明日、すぐに病院に連れて行かなくちゃ!」と思っていたら、すこしさすってあげたり、抱っこをしていたら痛いと言わなくなって何事もなかったように遊び始めたり、次の日に朝起きるとケロッとして全然痛みを訴えなくなり走り回っていたりとか、病院に連れて行ったがレントゲンでは何も異常がなかったという経験がある親御さんもいらっしゃるのではないでしょうか?

「成長痛」とは、病名ではなく、いわゆる「呼び名」であり、2歳~14歳くらいの成長期に痛みを訴えますが、特に腫れや関節の異常、レントゲン上でも問題がない状態を言います。
ですので、予後も良好で後遺症などを残すこともありません。

成長痛だから大丈夫!ってホントに大丈夫?

だからと言って、お子さんが「足が痛い!」と訴えた時に「成長痛だから大丈夫!放っておいたら治るから!」と安易に判断してはいけない場合もあるので注意して下さい。

足をひねったり、くじいたり、ぶつけたりした覚えはないが、少し腫れているような気がする・・・、もう2、3日痛いと言っている・・・、どことなく足を引きづっているような・・・、などがあれば成長痛ではない疾患が隠れている可能性があります!

子供特有の足の痛みを発症させる「骨端症(こったんしょう)」と言われる疾患があります。

子供は成長につれ背が伸びるのですが、背が伸びるというのは骨の長さが伸びることで、この骨の長さを伸ばす「成長軟骨」と呼ばれる大切な部分があります。
子供の骨は大人とは違いまだ完全な骨に成長しておらず、軟らかい軟骨部分があり、この軟骨部分が骨を長くしたり、大きくしたりしていって徐々に完全な大人の骨になっていきます。

この「成長軟骨」部分を、「骨端線(こったんせん)」とか「骨端軟骨(こったんなんこつ)」と言います。

骨が腐ってしまう!?

この「骨端線(こったんせん)」や「骨端軟骨(こったんなんこつ)」部分は、骨のように固くなく、軟骨でできているため軟らかく弱い部分になるので、大きな力が加わったり、繰り返しの力が加わることで、弊害を受けてしまうことがあります。

「骨端症(こったんしょう)」とは、成長軟骨から骨に成長していく部分が、外傷や何らかの原因で血液循環が悪くなってしまう病気で、場合によっては「壊死(えし)」と言って骨が腐ってしまうこともあります。

「骨端症」の種類は40種以上もありますが、ここでは成長期の子供の足に多く発症する「Sever病(シーバー病・セーバー病)」についてご説明していきます。

お母さん、かかとが痛いよ~(泣)

10歳前後の男児が激しい運動をした後や、時には何の誘因もなくかかとに痛みを訴えた場合、「Sever病(セーバー病・シーバー病)」を疑います。

かかとの痛みを訴えていなくても、足を引きづって歩いていたり、つま先歩きをしていることもあります。
また、かかとの周りに軽い腫れがあったり、押さえると痛がったりします。

「Sever病(セーバー病・シーバー病)」ってどんな疾患?

かかとの骨を「踵骨(しょうこつ)」と言い、この踵骨の骨端軟骨に起こる骨端症を「Sever病(セーバー病・シーバー病)」と言います。または「踵骨骨端症(しょうこつこったんしょう)」とも言います。

走ったり、ジャンプをしたりして、かかとが地面に着地する際の衝撃が、まだ弱い成長軟骨に繰り返し加わることや、踵骨(しょうこつ)にはアキレス腱が付着しているため、走る、ジャンプなどでふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が何度も収縮することで、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とつながっているアキレス腱が踵骨(しょうこつ)を引っ張るストレスが何度も繰り返され、成長軟骨に牽引ストレスが加わることが原因ではないかと考えられています。

サッカーや野球、バスケットボール、体操競技などに多く見られますが、その他のスポーツでも発症し、起こりやすい疾患でもあります。

男児に多く発症しますが、もちろん女児に発症することもあります。

「骨端症」では、骨が腐ってしまう「壊死(えし)」となってしまうこともあると説明しましたが、この「Sever病(セーバー病・シーバー病)」は、予後が良好で「壊死(えし)」してしまうことはほとんどないのでご安心下さい。

では、どのようにして治療していくのかをご説明していきます。

Sever病の治療法① 「安静」

「Sever病(セーバー病・シーバー病)」は、かかとの骨の踵骨(しょうこつ)のまだ未発達で弱い成長軟骨に、衝撃力やアキレス腱による引っ張る力(牽引力)が繰り返しくわわることで発症しますので、まずは「安静」にして運動やスポーツを中止して下さい。

スポーツによるケガは、オーバーユース(使いすぎ)によって小さなストレスが繰り返し同一部位にかかることが原因になっていることが多く、成長途中の子供の身体は大人とは違って弱い部分が多いので、「安静」が一番の治療になります。

Sever病の治療法② 「ふくらはぎ(下腿三頭筋)のストレッチ」

Sever病や他の足のケガや痛みを発症する子供達を診ていると、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)がガチガチに硬くなって柔軟性が低下しているという特徴があります。

スポーツをする上で、走る、跳ぶ、方向転換などの基本動作の繰り返しにより、特にふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を頻繁に使っているので硬くなってしまうのは仕方のないことですが、試合や普段の練習後には必ずストレッチをして柔軟性を低下させないことが、ケガの予防に最も大切なことになります。

ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)はかかとの骨(踵骨)に付着しているので、筋肉が収縮する度にかかとの骨に引っ張られる力(牽引力)が加わります。その牽引力は筋肉が硬い場合と、柔軟性のある場合では大きく変わってきます。

例えば、2人で向かい合わせになって片手にゴム、もう片一方の手でヒモをお互いに持っているとします。

向かい合った2人のうちの1人がゴムを持った手とヒモを持った手を同じ力で引っ張ったとしたら、さて引っ張られるもう1人の手はどちらの方が強く引っ張られるでしょう???

おわかりですよね(笑)
ゴムの方は弾力があり、その弾力が引っ張る力を吸収するので、引っ張る力は相手の手にそれほど伝わりません。
しかし、ヒモの方は弾力がないため引っ張った力がそのままダイレクトに相手の手に伝わるため、ヒモを持つ手の方が強く引っ張られることになります。

なので、ゴムのような弾力(柔軟性)がある筋肉だと付着している骨に伝わる力は吸収されるため、強い牽引力はかかりにくくなるのですが、ヒモのように柔軟性のない硬い筋肉だとダイレクトに骨に牽引力が加わってしまうために、弱い成長軟骨にも大きな牽引ストレスが繰り返し伝わってしまうことになるので、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)をゴムのように弾力のある柔軟性が高い状態にしておくことが、Sever病を治すためにとても重要になります。

ふくらはぎの(下腿三頭筋のストレッチの方法

それでは、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)のストレッチの方法をご紹介します。

◆下腿三頭筋・腓腹筋のストレッチ

ストレッチする足を後ろに両足を前後に開き、膝を伸ばした状態でかかとを浮かさずに前に体重をかけていくとふくらはぎの上部が伸びる。

◆下腿三頭筋・ヒラメ筋のストレッチ


下腿三頭筋・腓腹筋のストレッチ の腓腹筋のストレッチの状態から膝を曲げると、ふくらはぎの下の方からアキレス腱にかけてが伸びる。

Sever病の治療法③ 「ヒールパッドとリアライン・インソール」

Sever病の原因と考えられるかかとへの衝撃を少なくするために、前回紹介した「リアライン・インソール」(図6)で足のアーチ機能を高めることや、「ソルボセイン」という非常に衝撃吸収能に優れた「ヒールパッド」(図7)をかかとの下に装着することで、かなり衝撃を抑えることができます。

左図6

       右図7

靴を履いて行なうスポーツでは、このようにリアライン・インソールやヒールパッドを靴の中に装着することが可能です。
裸足で行なう柔道や剣道、体操などの競技では、ヒールパッドが内蔵されたサポーターもありますので、それを装着するのがよいと思います。

自宅にいる時は、裸足で硬いフローリングの床の上を歩くと痛い場合は、スリッパや厚手の靴下を履くとよいでしょう。

Sever病の治療法④ 「アイシングと温熱療法」

かかとの痛みを発症して、3日以内、あるいはかかとがじっとしていても痛い時、腫れや熱感がある場合はアイシングをして、患部を冷やして下さい。

アイシングは、氷をビニール袋に入れて直接患部には当てずに、ハンカチや手ぬぐいのような薄い布かキッチンペーパーなどの上から当てて、約15分冷やします。
長時間冷やし続けてしまうと凍傷の恐れがあるので注意して下さい。

安静にして、発症から3日以上が経過して、腫れや熱感がなくなれば、次は温熱療法に切り替え、患部の血液循環を促します。お風呂で身体をよく温めてからふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)のストレッチをすると効果的です。

Sever病の治療法⑤ 「微弱電流治療器(マイクロカレント療法)」

joyplus.鍼灸整骨院にある「微弱電流治療器(マイクロカレント療法)」は、炎症の軽減、組織修復の促進効果があるのでSever病の治療に有効です。

Sever病を早く治すために

Sever病は、かかとの骨(踵骨)が成長し、成長軟骨部分が大人と同じ骨になる「骨化(こつか)」すると発症しなくなり、予後も良好な疾患ですので、発症してからの処置、治療を適切に行なうことが大切です。

治療を怠ったり、無理をしてスポーツを継続させると痛みが長期間続いたり、一度は痛みが治まっても再発したりを繰り返すこともあります。

状況によっては、練習や試合を休ませることが難しいこともあるでしょうが、長い目で見ると早く治した方が、ズルズルと痛みを我慢してスポーツを続けるよりはパフォーマンスにもよいと思います。

また、痛みをかばうことで他のケガを誘発する可能性も高くなるので、、勇気を持って安静にすることが重要です。

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